どうも、新川です。
曹洞宗の大本山
永平寺を訪れました。
凛とした空気を感じながら、
たまにすれ違う
雲水さん(修行僧)達の
立ち居振る舞いの一つ一つが
この雰囲気を形成しているんだな、と
1人で勝手に納得していました。
さて、ここからが本題です。
前回に引き続き、
巣元方らが著した
諸病源候論を読んでいきたいと思います。
前回までの記事はこちら
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 中風候 其ノ一
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 中風候 其ノ二
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 風懿候
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 風口噤候
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 風舌強不得語候
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 風失音不語候
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 風痙候
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 風の角弓反張候
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 風の口喎候
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 柔風候
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 風痱候
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 風の腲退候
・【古医書】諸病源候論 風病諸侯(上) 風偏枯候
《原文》
手足不隨者、
由体虛腠理開、風気傷於脾胃之経絡也。
足太陰為脾之経、脾与胃合、足陽明為胃之経、胃為水穀之海也。
脾侯身之肌肉、主為胃消行水穀之気、以養身体四肢。
脾気弱、即肌肉虛、受風邪所侵、故不能為胃通行水穀之気、致四肢肌肉無所稟受。
而風邪在経絡、搏於陽経、気行則遅、関機緩縦、故令身体手足不随也。
診脾脈緩者、為風痿、四肢不用。
又心脈腎脈倶至、則難以言、九窮不通、四肢不挙。腎脈来多、即死也。
手足の不随は身体の正気が虚して腠理が開き、
そこから風邪が侵入して脾胃の経絡に傷害が及んで起こるものである。
足太陰は脾経であり、脾と胃は表裏関係にあり、
足陽明は胃経であり、胃は水穀(飲食物)の海である。
脾の外候は一身の肌肉であり、脾は胃の消化機能を助け、
水穀の精微(栄養分)を全身に運行し、以って全身を栄養する。
脾気が弱ければ肌肉(筋肉)が虚弱となって、また風邪の侵襲を被り、
そのために胃の消化機能が弱くなり水穀の精微を運行することができなくなり、
四肢の肌肉は栄養を受けられなくなる。
同時に風邪が経絡に存在して陽経に影響を及ぼして、
気血の運行が遅くなり、筋肉や関節の機能が弛緩して働かなくなり、
そのために身体の手足の不随が起こる。
診察して脾脈が緩のものは「風痿」の病と為し、四肢の活動ができない。
また洪脈と沈脈が同時に出現すれば、
それは「心腎倶に病む」で、その病証は言い尽くせないもので、
九窮(耳目口鼻及び二陰のこと、外に通ずる九個の穴)が通ぜず、
四肢が挙がらない。
沈脈に多く偏るものは予後不良である。
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脾与胃合:ここでの「合」は、
十二経脈の陰陽表裏の関係を指す。
心脈:ここでは「洪脈」を指す。
『脈経』に「心ハ・・・其ノ脈ハ洪ナリ」とある。
腎脈:ここでは「沈脈」を指す。
『脈経』に「腎ハ・・・其ノ脈ハ沈ナリ」とある。
参考文献:
『東洋医学概論』医道の日本社
『黄帝内経素問』
『黄帝内経霊枢』
『中国医学の歴史』
『中国鍼灸各家学説』
『中医学の基礎』東洋学術出版社
『校釈 諸病源候論』緑書房
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。