<近日開催予定のイベント情報>
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こんにちは、大原です。
前回の続きです。
(前回の記事:その16 六腑の合
過去記事の一覧は、記事の一番下にあります。)
今回から3回に分けて
六腑の状態を知る方法についてです。
今回は大腸と小腸についてです。
<原文>
曰
「應之奈何?」
曰
「肺應皮、皮厚者大腸厚、皮薄者大腸薄、
皮緩腹裏大者大腸大而長、
皮急者大腸急而短、
皮滑者大腸直、皮肉不相離者大腸結。
心應脉、
皮厚者脉厚、脉厚者小腸厚、
皮薄者脉薄、脉薄者小腸薄、
皮緩者脉緩、脉緩者小腸大而長、
皮薄而脉沖小者小腸小而短、諸陽經脉皆多紆屈者小腸結。
<読み & 意味>
曰く
「之に応ずるは奈何(いかん)?」
曰く
「肺の応は皮なり。
皮厚き者は大腸厚し。皮薄き者は大腸薄し。
皮緩にして腹裏大なる者は大腸大にして長し。
皮急なる者は大腸急にして短し。
皮滑なる者は大腸直なり。
皮肉相離れざる者は大腸結す。
【漢字の解説】
「滑」:まず、「咼」という字形はしっかりと骨と骨とがはまりこみ、
関節が自在に動くさまを示したもので、
「骨」はそれに肉づきを加えて自在に動く関節の骨を示したもの。
そして、それにさんずいを加えた「滑」は
水気があってなめらかに自由にすべることを意味する。
「直」:まっすぐの意味で、伸びて屈曲していないことを示す。
<意味>
「六腑が皮、脈、肉、筋、豪毛などと相応ずるのは
どのような関係になるのか?」
「肺の応は皮膚であります。
それで、皮膚の厚いものは大腸の壁もまた厚く、
皮膚の薄いものは大腸の壁もまた薄いものであります。
皮膚が弛緩して腹の大きなものは大腸もまた大きくて長いです。
皮膚が緊張しているものは大腸も引き締まって短いものであります。
皮膚が滑らかなものは、大腸はまっすぐでその通りも良いものであります。
皮膚と肌肉とが緊迫して離れないものは大腸もまた緊張し
大腸の気もまた結ばれて舒びないものであります。
<読み & 意味>
心の応は脉なり。
皮厚き者は脉厚し。脉厚き者は小腸厚し。
皮薄き者は脉薄し。脉薄き者は小腸薄し。
皮緩なる者は脉緩なり。脉緩なる者は小腸大にして長し。
皮薄くして脉沖小なる者は小腸小にして短し。
諸陽の經脉皆多く紆屈する者は小腸結す。
【漢字の解説】
「沖」:一方に偏らないこと。
→「沖小」で「むなしく小さいこと」「非常に穏やかで、かつ、小さいこと」となる。
「紆」:曲がる、めぐる、めぐらす、まとう、などの意味。
「屈」:かがんで小さくなる意味。
→「紆屈(うくつ)」で「細いものが曲がりくねること」となる。
<意味>
「心臓は内に小腸に合し、外は血脈に応ずるものであります。
それで、皮膚の厚いものは血脈の壁もまた厚いものであり、
血脈の厚いものは小腸の壁もまた厚いものであります。
皮膚の薄いものは血脈の壁も薄く、
血脈の薄いものは小腸の壁もまた薄いものであります。
皮膚が弛緩しているものは血脈もまた弛緩しており、
血脈の弛緩している者は、小腸は大であって長いものであります。
皮膚が薄く、脈中も非常に穏やかで、小さいものは、
小腸もまた小さくて短いものであります。
諸陽の経脈が皆曲がりくねっているものは、小腸が結ばれて、
その気の通りが悪いものであります。
続きます。
参考文献
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。
<今までの「鍼灸甲乙経を読む」過去記事>
鍼灸甲乙経 巻之一
第1 精神と五臓
●その1 前半
●その2 後半
第2 五臓の五変と五腧
●その3 全文
第3 五臓六腑の陰陽表裏
●その4 全文
第4 五臓と五官
●その5 前半
●その6 後半
第5 五臓の二十五変と六腑の関係
●その7 総論、心
●その8 肺、肝
●その9 脾、腎
●その10 心の状態の観察
●その11 肺の状態の観察
●その12 肝の状態の観察
●その13 脾の状態の観察
●その14 腎の状態の観察
●その15 五臓の全悪吉兆
●その16 六腑の合