こんにちは、大原です。
前回(鍼灸甲乙経の「第4 五臓と五官」)の続きです。
(前回の記事:鍼灸甲乙経を読む その5

第4 五臓と五官 の後編

・・・
五蔵不和則竅不通、
六府不和則留為癰。
故邪在府則陽脉不和、
陽脉不和則気留之、
気留之則陽気盛矣。
邪在蔵則陰脈不和、
陰脉不則血留之、
血留之則陰気盛矣。
陰気太盛則陽気不得相営也、故曰關。
陽気太盛則陰気不得相営也、故曰格。
陰陽倶盛、不得自相営也、故曰關格。
關格者、不得盡期而死也。

この内容は
『黄帝内経 霊枢』の「脈度篇(第17)」をもとに
作られたようですが、
その「霊枢 脈度篇(第17)」をまるまるコピーしたのではなく、
いくつか修正したところがあります。
上記の原文で太字にしているところがそれです。それをふまえて
読み方を見てみましょう。

五蔵、和さざれば則ち竅通ぜず、
六府、和さざれば則ち留し癰となす。
ゆえに邪、府に在ればすなわち陽脉和さず、
陽脉和さざればすなわち気これを留め、
気これを留めればすなわち陽気盛んなり。
邪、蔵に在ればすなわち陰脈和さず、

陰脉さざればすなわち血を留め、
血之を留めればすなわち陰気盛んなり。
陰気はなはだ盛んなれば、すなわち陽気相営するを得ざるなり、ゆえに關(関)という。
陽気はなはだ盛んなれば、すなわち陰気相営するを得ざるなり、ゆえに格という。

陰陽ともに盛んにして、自ら営するを得ずなり、
故に關格(関格)という。
關格(関格)なる者、期 尽くすを得ざりて死するなり。

 

はじめの行の「通ぜず」は、
「霊枢 脈度篇(第17)」では
七竅通ぜず」となっています。
また、
「邪、蔵に在ればすなわち陰脈和さず」
の文章が「霊枢 脈度篇(第17)」には無く、
甲乙経で追加修正されています。

ちなみに「九竅」とは
口・ 両眼・両耳・両鼻孔・尿道口・肛門の、
人体における九つの穴のことで、
「七竅」とは
口・ 両眼・両耳・両鼻孔だけになります。

霊枢では「七竅」となっているのは、
この抜粋元の文章よりも少し前に、
七竅」について触れられているためです。
甲乙経では、その文章は除外されているので、
全ての人体の竅である「九竅」に
変更修正したのでしょう。

続きます。


参考文献
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍

興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。

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