「病人の甚食せん事をねがふ物あり。
くらひて害に成食物、又冷水などは願いに任せがたし。
然共病人のきはめてねがふ物を、
のんどにのみ入れずして、口舌に味ははしめて
其願を達するも、志を養う養生の一術也。」
貝原 益軒『養生訓』より
下野です。
今回は
病人が病治しの最中に、
本人の希望をする食べ物、飲み物を欲する時に
出来る限りその希望に添ってあげるには
といった内容となります。
では現代語に訳してみます。
「あれが食べたい、飲みたいと
病人が望むときがある。
食べて害になるもの、冷水等の
願いを聞くわけにはいかないが、
病人が非常に欲しがっているものを
飲み込ませないように口の中で味わわせ、
その願いをかなえてあげるのも
回復への望みを養う一養生方法となる。」
といったところでしょうか。
体がしんどい時、闘病中等は
やはり病に対する気持ちから、
気が落ち込んだり、滅入ったりすることは
誰でもあるかと思います。
その時に、あれもダメ、これもダメと
制限ばかり欠けてしまうより、
すこしでもその気持ちを晴らしてあげ、
病治しに前向きになれるために
こういった養生法が出来たのでは?と思います。
では。
<参考文献>
『養生訓』 貝原守一博士校訂本
『口語 養生訓』 日本評論社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
下野