こんにちは、大原です。
今回は「丹田」(タンデン)とは何か?についてです。
「丹田」は、武道において昔から重要視されてきました。
空手や柔道、剣道、合気道、弓道、少林寺拳法など、
何か武道をされている方ですと
「丹田に身体の重心があると安定するぞ」
などと先生から指導されたりしたことが
あるのでは無いでしょうか?
では、そもそも「丹田」とは何なのでしょうか?
漢字の意味としては
「丹」:長生きのための薬
「田」:それを作るための場所
という意味があるようで、
すなわち「丹田」とは気を溜めて、充実させ、
必要に応じて活用するための
大事なエネルギーの中枢をいいます。
これは、中国思想・哲学のもととなった
道教において説かれる身体の部分であり、
上丹田、中丹田、下丹田の三つがあります。(下図)
上丹田、中丹田、下丹田に納められる
身体の根本的なエネルギーはそれぞれ
・上丹田:神(しん)
・中丹田:気(き)
・下丹田:精(せい)
であり、東洋医学の「気の思想」が基本となっています。
(参考:「人の生は気の集まったものである。
集まれば生となり、散ずれば死となる」『荘子』より)
また、
「精」から「気」が生じ、
「気」から「神」を生じる
という生成関係があり、
根本の根本である精を納めている下丹田が非常に重要で、
おそらくこのような関係から
「丹田」と言えば、一番重要な「下丹田」を指すようになったと思われます。
場所が臍の下にあることから「臍下丹田」とも言います。
言い換えると、
「下丹田」(いわゆる「丹田」、「臍下丹田」)が
充実していない状態とは、
身体の根本である場所が空虚であり、すなわち
身体全体としても
弱い状態になってしまっていることになります。
そのため、身体の軸を重要視する武道において、
「丹田」が重要視されるのだと思います。
以上、丹田の歴史を簡単に見てみましたが、
東洋医学の基本の用語が出てくるところが興味深いです。
「丹田」に関する考察の歴史は非常に長く、
「丹田を充実させるにはどうすれば良いか?」
ということにも
昔の人は多くの時間をかけて
考察や試行錯誤をしていたようです。
参考文献
『道教の生命観と身体論』
『道教と中国思想』 雄山閣出版
『気 流れる身体』
『道教と不老長寿の医学』 平河出版社
『煉丹術の世界』 あじあブックス
興味がおありの方は、ぜひご一読ください。