こんにちは盧です。
「秘スル花」
「秘スレバ花ナリ。秘セズバ花ナルベカラズ。」
世阿弥の著書『風姿花伝』の一節です。
冨永仲基だったでしょうか
「日本人の特徴は秘することにあり」
と解説し、「秘伝」という言葉が
よく使われるのは日本の芸能の特徴でしょう。
その「秘伝」いわゆる「秘する花」は
この世阿弥が最初に言ったと言われております。
この「秘する花」
見物人および他の役者(劇団)に対する戦術上の
秘密と解釈するのが最も良いでしょう。
当時お能は幕府のさじ加減でお抱えが
決まる時代でありました。
そこに対していかにとり入るか
いかに観客を沸かせるか
劇団の棟梁であった世阿弥の
死活問題だったのでしょう。
そのために生み出されたのが
「秘する花」つまり
戦略的に秘密を使う。
という事だったようです。
世阿弥の生々しい生き様が
『風姿花伝』に残っていると
思うと心震えるようでした。
参考文献
『加藤周一セレクション 日本文学の変化と特徴』