こんにちは、大原です。
前回は薬物と食物の違いについてでした。
(前回:『医界之鉄椎』より 其の五

今回は、「第六 漢医方の基礎医学」から、
漢方医術全体についての考え方についてです。

本文(途中から)
本文(途中から)

冒頭部分から
「それ、漢医方は二千年の古(いにしえ)におこりて、
治法においてはほとんど完全無欠なるも、
人身および病原等に対する究理的検索の
いまだ著しき発達を遂げざるに、
早く既に陰陽五行の医説によりて、その発達に一台頓挫を来たし、
・・・(略)・・・
この時代の洋方基礎医学に対比せしめんか、
なんら遜色あることなし。
外科的技術においてこそ一着を腧したれ。
内科的技術においては現今にありてもなお寧ろ数歩の長を持し居るにあらずや。」

ところどころ、読み方や意味の難しいところがありますが
西洋医学が主流となった明治において、
漢方医術が廃れてしまった。
細菌・ウィルス性の疾患や外科的治療においては
西洋医学の方が有利であるが、
それ以外の疾患(内科的治療)に関しては
漢方医術の方が優れている
といった内容が書かれています。

その後、
漢方医術に関する理論は
西洋医学とは違って理路整然とまとめられていないため
会得するのが難しく、
また、後学を惑わしてしまうような理論の書物もあり、
難解なものであると見なされてしまう。
しかし、だからといって
漢方医学は取るに足らない物だと排除されてしまうのは非常にもったいなく、
たとえば
西洋医学の一般の知識を備え、さらに
漢方医学の妙処を専用して西洋医学の不備を補うことができれば
病人にとっての幸福であることだけでなく
医学の光明を得ることができるだろう
としめくくられています。

現代にも通じる内容が書かれていると思います。

続きます。


参考文献
『復刻 医界之鉄椎』たにぐち書店

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

大原

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