こんにちは、為沢です。
今回は王冰おうひょうをご紹介します。

王冰は、号を啓玄子(啓元子)と称した医学者で、
生没年・本籍とも不詳だが、林億の『唐書・人物志』によると
唐代の710年から805年にかけた人と推定されております。
在世中、太僕令(牧畜を管理する官名)に任ぜられたことから、
後世の人は王冰のことを「王太僕」と称しております。

王冰は青年期に養生に関心を寄せ、医学の道に進みました。
彼は養生の根幹を究めるべく『黄帝内経素問』を研究していたが、
当時の素問には誤りも多く見受けられ、
九巻のうち第七巻が亡失していたうえ、
内容は重複したり脈絡が混乱した状態だった為、
王冰はこれをきちんと整理しようと12年の歳月を費やし
『補注黄帝内経素問』八十一編、二十四巻を完成させました。

そして同書の中で、
「天元紀大論」「五運行大論」「六微旨大論」
「気変変大論」「五常政大論」「六元正紀大論」
「至真要大論」の運気七篇が王冰によって補填されました。
この七篇は、主に五運六気の道理にもとづき
六気と気候・気象・生物の周期的な現象との関係および
人体の発病や治則との関連などが書かれています。
ただ、この七篇に関して
「これは素問の原文なのか?」と
疑問を抱く人が多く、この巻が失われ六百年も経っており、
王冰に復元できるはずはないのでは?という意見もあります。

しかし、素問の読解を通じて
先人の業績を受け継ぎ、後世の医学へ繋ぎ発展させた
その多大なる功績は否定しようがありません。


参考文献:
『東洋医学 基礎編』
『いちばんわかる!東洋医学のきほん帳』学研
『東洋医学概論』医道の日本社
『現代語訳◉黄帝内経素問』
『現代語訳◉黄帝内経霊枢』
『中国医学の歴史』
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社

為沢

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