こんにちは、大原です。
前回は薬物の考え方についてでした。
薬物にはその性質の偏り(「偏性」)があることで
身体への作用が強いという説明がなされていました。
(前回記事:『医界之鉄椎』より 其の四)
今回は、第五 食物と薬物です。
<意味>
「薬物」は、その特有の偏性を利用して
身体の病的傾向を矯正するものである。
これに対して「食物」は偏性が少ないものであり、
逆にいうと偏りが少ないが故に食物ともいえる。
例えば、一つの穀物や一つの野菜は
それぞれ特有の性質を有するので
多少の偏性がある。それらの食材に対して
調理を施すことにより
(複数の食材や調味料を用い、煮る・焼く・干すなどの加工を施すことにより)
その偏性が調和され正性となるのである。
また、同一の食物ばかりを摂取しようとすることは
嫌悪感を感じるものである。
同一の食物のみで必要な栄養素を吸収しようとすると
その食物が過量となってしまう。
人間のような高等動物は、口や胃、腸が狭小であり、
過量の食物は内臓に負担をかけ疾病の原因に至る。
同じような食べ物ばかりを嫌悪するのは自然の良能なのである。
ゆえに、日に日に献立を新たに調理法を変えて
その食物を美味しく感じることは
山海の珍味だから(ごちそうだから)ということだけではない。
(身体にとって必要な栄養素が、
調理することで身体に吸収しやすい性質に
なっているということである。)
理想の調理法とは、
その食材が一見消化しにくいようなものでも
その偏性が調理によって正性になり
容易に消化できるようになるものである。
ゆえに、
『食とは好悪に従い日に新たになろうとすることを欲するものであって
薬とは好悪に従わず、日に改まることを欲しないものである』
と東洞先生はおっしゃった。
医者の中にも
食物と薬物とを混同している者がいる。
食べ物において、患者の嫌悪するにこだわらず
同一の滋養を摂取するように勧めたり、
逆に、薬は、患者の好悪などから処方を変えてしまい、
病の根に薬の効果が浸透させることに努めないといったことである。
食物についての考察ですが、
現代でもうなづける内容だと思います。
近くにラーメン屋さんやたこ焼き屋さんがありますが、
ネギなどの薬味が入っているからこそ
油っぽい食べ物を美味しく感じられて
栄養になるということです。
参考文献
『復刻 医界之鉄椎』たにぐち書店
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。
大原