こんにちは、為沢です。
今回は張景岳の『質疑録』の第二十三章「論静而得之曰中暑 其之一」です。
和訓:
潔古の『此事難知』に、動にして得たるを中熱と曰い、
静にして得たるを中暑と曰う。と曰えり有り。
此の言は議無きこと能わず。
夫れ中熱・中暑は均しく夏月に感受せしの熱邪に自るなり。
故に中暑は即ち是れ中熱なり、初めに分の有ること無く、
但だ其の得たるに則ち別の有る者のみなり。
如えば行人・農夫が・道途田野の間に奔走し、
労働して、此の時に熱氣が充斥して、
一時に昏悶し卒倒するを、此を中暑と謂う、
即ち中熱と謂う、是は皆な動いて得たる者なり。
・王好古の『此事難知』の中に、
「労働して中熱(熱あたり)といい、
安静にしていて発病したものを中暑(暑あたり)という」
という文章があるが、この文意については検討する必要がある。
・
・中熱も中暑もともに夏期に熱邪を感受して発病したものである。
従って中暑と中熱は病状は同じであり、
初めから区分があるものではなく、ただその発病のしかたに
区分があることだけである。
・たとえば旅行者や農夫が道路上や田畑で歩き回ったり
労作業をしている時に夏の熱気が体内に充満して
突然に意識が昏蒙して卒倒することがあるが、
これを中暑といい、それは即ち中熱でもあって、
これは身体を動かしている時に起こった病である。
原文:
潔古『此事難知』有曰、動而得之曰中熱、静而得之曰中暑。
此言不能無議。夫中熱、中暑、均自夏月感受之熱邪也。
故中暑即是中熱、初無有分、但其得之則有別者。
如行人・農夫・奔走労働於道途田野之間、
此時熱氣充斥、一時昏悶卒倒、此謂中暑、即謂中熱、
是皆動而得之者也。
参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『格致餘論注釈』医聖社
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
『宋本傷寒論』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・素問』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・霊枢』東洋学術出版社
『校釈 諸病源候論』緑書房
『景岳全書』台聯國風出版社
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是非参考文献を読んでみて下さい。
為沢