【心斎橋本院 開院のお知らせ】
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こんにちは、為沢です。
今回は張景岳の『質疑録』の第二十一章「論赤痢自小腸来」です。
和訓:
白痢は大腸自り来り、赤痢は小腸自り来るとは、
此は丹渓が赤白を以て氣血を分けて言を爲せるなり。
然るに大腸は傳導の官と爲し、
痢は臓腑を動かせるの脂膏、腸胃を傷せるの血絡を屬させる、
故に赤白は倶に并せて大腸に入りて下る。
若し小腸は則ち溺を出すと爲せば、
而して赤痢は何ぞ小腸自り来ると云うや?
心は血を主り、心と小腸は表裏を爲すと謂う、
故に赤痢は本より小腸の化す所とすれば則ち可なり、
若し小腸従り来ると謂えば、未だ小腸を下痢の腑と爲すを見ざるなり。
其の言は以て害意を辞す可からず。
・”白痢は大腸から来て、赤痢は小腸からくる”という論は
朱丹渓が下痢の色の赤白でもって、気血に分けようとして言ったものである。
・
・『内経』に”大腸は伝導の官である”と述べられていて
下痢とは臓腑の脂膏を動かして白(粘液)を出し、
腸胃の血絡(血管)を傷して赤(血)を出し、
それが一緒になれば赤白がともに大腸に入って下る。
・小腸は『内経』には溺(小便)を出すと言われているが
赤痢が小腸からくるとは書かれていない。
・心は血を主り、心と小腸は表裏関係にあるので
赤痢は小腸の化であるとするのはよいが、
小腸から来るというのは
小腸が下痢の腑であるという見解をみたことがなく、
その意見は理論上、害があるという批判を受けないことはできないだろう。
原文:
白痢自大腸来、赤痢自小腸来、
此丹渓以赤白分氣血爲言也。
然大腸爲傳導之官、痢屬動臓腑之脂膏、傷腸胃之血絡、
故赤白倶并入大腸而下。
若小腸則爲出溺、而赤痢何云自小腸来?
謂心主血、心與小腸爲表裏、故赤痢本小腸之所化則可、
若謂従小腸而来、未見小腸爲下痢之腑也。
其言不可以辞害意。
参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『格致餘論注釈』医聖社
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
『宋本傷寒論』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・素問』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・霊枢』東洋学術出版社
『校釈 諸病源候論』緑書房
『景岳全書』台聯國風出版社
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是非参考文献を読んでみて下さい。
為沢