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こんにちは、大原です。
東洋医学の重要な古典の一つ『傷寒論』という書物には、
病のかかり始めから死に至るまでの経過や、
それら各々に対しての処方について書かれています。
病のかかり始めの主な内容としては、具体的に
現代における一般的なカゼや、
インフルエンザといった流行性の感冒などについて
書かれていると解釈されています。
さて、その病のかかり始めについての記述の中で、
病の原因となるものに
「傷寒(しょうかん)」と「中風(ちゅうふう)」
の2つが繰り返し出てきます。
「傷寒」とは「寒」に「傷られる」ということで、
すなわち冷えが体に侵入して病となるものをいいます。
「中風」とは「風」に「中る」、
すなわち体表を守る機能が失調して病となるものをいいます。
どちらに罹っているかによって
治療方針が変わりますので、
2つを鑑別する必要があります。
(2つどちらにも罹ってる場合もあります。)
これら2つはなんとなく違うなというニュアンスが
上の説明では感じられると思いますが、
実際の症状としては
どちらも寒気がしたり、
熱が出たりと共通する症状や所見があり、
どちらかを鑑別しにくいと感じることもあります。
さて、『傷寒論解説』という解説本の中で、
2つの違いについて
分かりやすく説明されている箇所がありましたので
抜粋します。
「中風では変化が表(体表部)にだけとどまっているのに、
傷寒では変化が裏(体内)にまで及んでいる。
家に喩えると、
中風は、風が雨戸にあたって、それをゆるがすようなもので、
その風のあたったところだけに変化がみられ、部屋の中に異常がない。
ところが傷寒は、雨戸を閉め切っておいても、
寒さが部屋の内にまでしみ通るようなものであると。
そこで中風を単純な感冒とすれば
傷寒は悪性の流感や腸シブスのようなものである。」
中風も傷寒も、どちらも『表証』という、
体表部で起こる病であるとされていますが、
傷寒の方が中風よりも入り込む強さがより強いため、
体内(裏)に影響を及ぼしやすいと説明されています。
ついでに傷寒論の条文をみてみますと
<2条>中風の定義
太陽病、発熱して汗出、悪風、脈緩の者は、名づけて中風となす。
<3条>傷寒の定義
太陽病、或いは已に発熱し、或いは未だ発熱せず、
必ず悪寒し、体痛、嘔逆、脈陰陽ともに緊の者は、名づけて傷寒となす。
とあり、中風の場合は発熱がみられるが、
傷寒の場合は、はじめの内は
発熱がみられない段階があるとされています。
これは、中風の熱が浅くて発熱しやすいのに対し、
傷寒の熱はそれよりも深くかくれて
容易に発熱しにくいことを表しているそうです。
先日、一般向け講座の中で、
漢方薬の葛根湯をテーマにして、
東洋医学におけるカゼについてお話させて頂きました。
復習になりますが、
葛根湯はどちらかというと
傷寒の病に対するものになります。
あと、葛根湯はカゼには効かないのでは?
という内容のテレビ番組があったそうですが、
カゼの中の、傷寒に対しての検証だったのかどうか
個人的に疑問を感じました。
参考文献
『傷寒論解説』 創元社