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下野です。
今日は江戸期の日本人医師が記した、
『経籍訪古志』という書物を
ご紹介します。
『経籍訪古志』の
「経籍」とは「漢籍」(=現 中国)のことであり、
「志」は「誌」「目録」となります。
つまりは、
「古の時代から我が国に伝わった、書物の目録とその解説」
という意味で、江戸時代における書誌学の最高傑作と言われています。
これの何が重要なのかと言いますと、
当時の中国では散逸してしまった書物を
『経籍訪古志』があることによって知ることができ、
またこれら書籍が日本に伝わってきたことで、
それぞれの時代の日本人の思想・哲学の根底を知ることができる
とされており、
ただの書物目録ではないということになります。
そんな歴史的書物を記したのが、
福山藩(現 広島県)医師の森 立之、
弘前藩(現 青森県)医師の渋江 抽斎
となります。
そうです、医師です。
彼らは医師の肩書きだけでなく、
漢・国学の研究(考証学)に多大な功績を残しました。
勿論両者とも医師として、
治療や江戸医学館で臨床教育に当たり、
また『素問』『霊枢』『傷寒論』等の校注本を残し、
これは中国でも非常に高い評価を受けております。
この2人に興味のある方は
森鴎外の史伝『渋江抽斎』に書かれておりますので、
そちらを一度お読み頂ければと思います。