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こんにちは、大原です。
先日、ある公園に行ったところ、写真にある、
たくさんの石を積み重ねてできている
大きな卵型のものを見つけました。
中は空洞で、幼稚園ぐらいの子どもが入れる大きさで、
まるでかまくらのようでした。
接着剤や粘着テープなどで石を留めても無く、
積み重ねた石の重みだけでこのような作品ができるのですね。
どうやって作ったんでしょう??気になります。
さて、前回のブログで、
2018年と2019年の運気は、
五運は参考として
六気(主気と客気)の推移が
その1年の気候を予測する上での指標となるということでした。
(前回の記事:2018年・2019年の運気(五運六気学説より) その4)
該当の記述が
素問『六元正紀大論篇(71)』にあります。
2018年は「太陽寒水」が司天の気であり、
「太陽寒水」を司天の気とする1年の気候や病についての記述は
以下になります。
(原文)
凡此太陽司天之政、氣化運行先天、天氣肅、地氣靜。
寒臨太虚、陽氣不令。水土合徳、上應辰星鎭星、
其穀玄黅、其政肅、其令徐。
寒政大擧、澤無陽焔、則火發待時。
少陽中治、時雨廼涯。
止極雨散、還於太陰、雲朝北極。
濕化廼布、澤流萬物、寒敷于上、雷動于下、寒濕之氣、持於氣交。
民病寒濕、發肌肉萎、足痿不收、濡寫血溢。
(読み)
およそこの太陽司天の政は、気化の運行、天に先んじ、天気粛として、地気静かなり。
寒は太虚に臨み、陽気令せず。水土、徳を合し、上は辰星と鎮星に応じ、その穀は玄黅、その政は厳しく、その令は除やかなり。
寒政大いに挙がり、沢に陽焔無ければ、すなわち火の発すること時を待つ。
少陽、治に中れば、時雨すなわち涯あり。
止極すれば雨散じて、太陰に還り、雲は北極に朝す。
湿化すなわち布き、沢は万物に流れ、寒は上に敷き、雷は下に動き、寒湿の氣、氣交に持す。
民は寒湿を病み、発すれば肌肉萎え、足痿えて収まらず、濡寫して血溢る。
(意味)
太陽寒水の司天の年は、天気は澄んでひきしまり、地気は安静であり、
寒気が宇宙に充満して陽気は作用を発揮することができない。
湿が四方にいきわたると、寒気が上に発動し、雷が下に鳴り、寒気と湿気が対峙します。
人々は寒気と湿気に犯され、発病すれば肌肉が萎え、
両足が萎えて力が抜けてもどらず、大便が水状になり、血が流れ出るなどの病状になります。
(原文)
初之氣、地氣遷、氣廼大温、草廼早榮、民廼厲。温病廼作、身熱、頭痛嘔吐、肌腠瘡瘍。
二之氣、大涼反至、民廼慘、草廼遇寒、火氣遂抑、民病氣鬱中滿、寒廼始。
三之氣、天政布、寒氣行、雨廼降、民病寒、反熱中、癰疽。注下、心熱瞀悶、不治者死。
四之氣、風濕交爭、風化爲雨、廼長、廼化、廼成。民病大熱少氣、肌肉萎足痿、注下赤白。
五之氣、陽復化、草廼長、廼化、廼成、民廼舒。
終之氣、地氣正、濕令行、陰凝太虚、埃昏郊野、民廼慘悽、寒風以至、反者孕廼死。
(読み)
初の気は、地気遷りて、氣すなわち大いに温かく、草すなわち早く栄え、民すなわち厲あり。
温病すなわち作こり、身熱し、頭痛みて嘔吐し、肌腠瘡瘍す。
二の気は、大涼反って至り、民すなわち惨み、草すなわち寒に遇い、火氣遂に抑えられ、
民病めば気鬱して中満し、寒すなわち始まる。
三の気は、天政布き、寒氣行り、雨すなわち降り、民は寒を病みて、反って熱中たりて、癰疽あり。
注下し、心熱し、瞀悶し、治せざる者は死す。
四の気は、風と湿交ごも争い、風化して雨となり、すなわち長じ、すなわち化し、すなわち成る。
民病めば大熱ありて気少なく、肌肉萎え、足痿え、赤白を注下す。
五の気は、陽復して化し、草すなわち長じ、すなわち化し、すなわち成り、民すなわち舒やかなり。
終の気は、地気正しく、湿令行われ、陰は太虚に凝し、埃は郊野に昏く、
民すなわち惨悽にして、寒風以て至り、反すれば孕者すなわち死す。
(意味とまとめ)
<初の気>大寒から春分まで:(客気:少陽相火)
地気が移り変わって気は大いに温かく草木は早く繁茂し、人々は伝染性の疾病にかかりやすくなります。温性の病が発生し、発熱、頭痛、嘔吐、皮膚や肌肉の腫れものなどが現れる。
<二の気>春分から小満まで:(客気:陽明燥金)
涼気が戻ってくるため、人々は涼しさに犯され痛んだり、火気が抑制されるので体内に気が鬱積して腹部が張る。寒気が発生し始める。
<三の気=司天の気>小満から大暑まで:(客気:太陽寒水)
司天の気(太陽寒水)が力を行使するので、寒気が広くゆきわたり、雨も降り出します。
夏なのに寒くなったりするので外からは寒気に犯され、体内は熱がこもるのでできものができます。
下痢をしたり、心臓がもだえて熱が出て、意識が朦朧とするなどの症状があらわれ、治療が手遅れになると死亡します。
<四の気>大暑から秋分まで:(客気:厥陰風木)
風気と湿気が争って雨となる。人々が発病すると高熱が出て呼吸困難になり、肌肉が萎縮し、両足も萎えて力が抜け、下痢をするという症状が現れる。
<五の気>秋分から小雪まで:(客気:少陽君火)
陽気が来復して作用するので草木は成長し、人々も快適に暮らせる。
<六の気=在泉の気>小雪から大寒まで(客気:太陰湿度)
湿気が広くいきわたり、陰気が宇宙に凝集し、大地には土埃が舞い上がって暗くかすみ、殺風景になり、寒風が到来すると、妊娠している人は往々にしてこれに損なわれて死産となる。
(原文)
故歳宜苦以燥之温之。必折其鬱氣、先資其化源、抑其運氣、扶其不勝、無使暴過而生其疾。食歳穀以全其眞、避虚邪以安其正、
適氣同異、多少制之。同寒濕者、燥熱化、異寒濕者、燥濕化。故同者多之、異者少之。用寒遠寒、用涼遠涼、用温遠温、用熱遠熱。食宜同法。
有假者反常、反是者病。所謂時也。
(読み)
ゆえに歳 宜しく苦以て燥にしこれを温にすべし。
必ずその鬱気を折るに、まずその化の源に資りて、その運気を抑え、その不勝を扶け、暴過をしてその疾を生ぜしむることなかれ。歳穀を食して以て其真を全くし、虚邪を避けて以て其正を安じ、
気の同異に適して、多少もてこれを制す。寒湿に同じき者、燥熱もて化し、寒湿に異なる者、燥湿もて化す。故に同じき者はこれを多くし、異なる者はこれを少なくす。寒を用いるに寒を遠ざけ、涼を用いるに涼を遠ざけ、温を用いるに温を遠ざけ、熱を用いるに熱を遠ざく。食も宜しく法に同じ。
仮ある者は常に反し、是に反する者は病む。いわゆる時なり。
(意味)
そのため、この年には苦味・燥性のものを多く用いて
湿気や寒気を除去し温性にするべきである。
また、気の鬱滞を起こす原因を弱める必要がある。
気の調和をはかるべく、たとえば寒性の薬品を用いる場合には寒冷な時期を避けるべきである。
食についても同様である。
以上のようになります。
この記述が今年の気候に推移すると考えると、
今年は秋分から11月中旬(五之気)にかけては過ごしやすい気候が続くようですが、
11月下旬から年明けにかけて(六之気)は
湿気や寒気に犯されてしまわないように
注意が必要なようです。
2019年は「厥陰風木」が司天の気であり、
「厥陰風木」を司天の気とする1年の気候や病については
次回に続きます。
参考文献:
『黄帝内経 素問 下巻』 東洋学術出版社
『内経気象学入門』 緑書房
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
大原