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こんにちは、大原です。
東洋医学では
病の原因となるものを「邪(じゃ)」といいます。
例えば寒邪(かんじゃ)、熱邪(ねつじゃ)、風邪(ふうじゃ)などといいますが、
これらは素問・霊枢など
東洋医学の古典の中に出てくる言葉で、
身体に対して病を及ぼしたりするもの・原因
というようなニュアンスで書かれ、
大体そのような意味だろうとして一般的に読まれていると思います。

ですが、「邪」とはいったい何なのか?と問われると
なかなか答えにくいのではないでしょうか?

「邪」という言葉だけですと、
怪しいニュアンスになってしまいますが、
そうではないです(笑)

「邪」について、現代の東洋医学の
基本書においてどのように書かれているかみてみますと、
・人体に対する障害因子を「邪気」としてとらえる。(『基礎中医学』)
・「邪気」とは、各種疾病の発病因子を指す。(『新版 東洋医学概論』)
とあります。
さらに、邪気の対立概念として
正気(せいき)=人体の生命力・抵抗力」という用語があります。
この、邪気正気がどのように盛衰するかによって、
病気にかかったり、
病気から回復していったりするという考え方になります。
正気が落ち込んでしまうと
その落ち込んだ部分に邪気が入り込み、
病の原因となります。

たとえば身体が疲れているときに(=正気が減少しているときに)、
寒い場所でじっとしているとカゼをひいてしまうようなものです。
これは、簡単にいうと、
正気が減少したために寒気が体内に入り込み、
寒気が寒邪として発病因子となったということです。

さらに、「邪」の漢字の大元の意味を調べてみますと、
生体に接触して、食い違いを起こすようなものを封じ入れているもの
ということになるようで、
現代の言葉に言い換えると
「ひずみ」「アンバランス」「ストレス」などの状態を
引き起こさせるようなものを封じ入れているもの
というニュアンスになるそうです。

以下、参考です。

東洋医学の歴史を少しみてきたいと思いますが、
大昔の太古の人は、なぜ人は病気になるのかを、
・悪魔が人に取り憑いた
・神のたたり
と考えていたそうです。
このような歴史があるということからも、
「東洋医学は怪しい」
「しかも『邪』という言葉を使ったりしてさらに怪しい」
などと思われがちです。

ですが、その後、紀元前5世紀頃に
篇鵲(へんじゃく)と倉公(そうこう=淳宇意(じゅんうい))という
2人の名医が現れたことがきっかけで
病気の原因が何かといった診察・診断や
治療の技術が次第にできていったようです。
その後、素問や霊枢といった東洋医学の古典が編纂され、
現代に至ります。

東洋医学の治療において
「邪」の言葉を取り違えて
「邪を取り除く」という表現だけが独り歩きしてしまうと
上記のように誤解されてしまうかも知れません。

繰り返しになりますが、
症状の原因がどこにあるのかを考察して
その原因を取り除いていくことが鍼灸の治療になりますが、
「邪」とは、その発病因子のことをいいます。
(補足:症状の原因を表す東洋医学の用語はいくつかあり、
「邪」と呼称しないものもあります。)


参考文献
『鍼灸医学大系①』 雄渾社
『図解入門よくわかる黄帝内経の基本としくみ』 日本内経医学会
『基礎中医学』 燎原
『新版 東洋医学概論』 東洋療法学校協会

大原

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