どうも、新川です。

今回は天枢穴を解説致します。
※経穴の効能に関しては、あえて言及せず、
ツボに使われている漢字の語源や別名などをお伝えしたいと思います。


【天枢(足の陽明胃経)】

宇宙との関わり?

天枢の由来を探っていくと、
夜空に浮かぶ星座の名称につきあたります。

元々、この経穴以外にも、
宇宙の天文に由来した名称はいくつかあります。
以前お伝えした太白もその一つです。

話が天文に流れて行く前に、漢字の解説を行いましょう。

【天】
象形指示

大(おとな)の頭部を強調して大きく書き、
頭頂の意を表し、転じて、
頭上に広がる空、自然の意に用いる。

①いただき(頂き)、うえ(上)
②あめ、そら
③万物の主宰者。造物主。上帝。
・・などあり

【枢(樞)】

形声

旧字は木と區(く)→(みぞの意→溝)とから成り、
「とぼそ」の意を表す。
とぼそがとびらの開閉に重要なところから、
転じて、かなめの意に用いる。

①とぼそ。くるる。開き戸を開閉する軸となる所
②からくり、しかけ
③かなめ(要)たいせつなところ。
④まんなか。中央。
・・などあり

天枢穴は、臍から外方二寸にあることから、
身体の中心部にあるという意味(まんなか)
また、身体の天部と地部との境界線、
中焦との関わり、清気と濁気の昇降作用の枢軸となっていること(かなめ)
というところからも、
「枢」の字が使われていると解釈されております。

由来となる星座とは?
さて、先ほどの星座の話の続きをしましょう。

天枢の由来になっている星座の名前は、

『北斗七星』です。

これだけで、少し天枢穴の格が上がったように感じてしまいます。
天枢は、北斗七星の「おおぐま座α」ドゥーベの中国名です。

北斗七星は
天枢を含む七つの星から形づくられます。
中国では「柄杓」の形をしているとされ、
「柄杓」の別名として、「斗」といわれることもあります。
北極星の周りを一日かけて一周することから、
時計のない時代の航海士は、
北極星を時計の中心に、北斗七星を時計の針にみたて、
針先にある剣先星(おおぐま座η星:中国名「揺光」)が
一時間に約15度づつ動くことで時を知ることが出来ました。

柄杓の形のうち、
器の部分を構成する四つの星(天枢、天璇、天璣、天権)を、かい
柄の部分を構成する三つの星(玉衡、開陽、揺光)を、標またはひょうといいます。

天枢は、北極星に最も近い場所に位置する星です。

まとめ
では、
北極星とはどのような位置付けであったのでしょうか。

地球の自転軸を北極側にのばした先にある星を指し、
地球から見ると常に一定の位置に存在し、
宇宙にある星々の中心として捉えたことから、
全宇宙を司る星として、最高レベルの神として崇拝されるようになりました。

その後、天帝の化身として「北辰」という名称が与えられるようになります。

以上のことから、
「天枢」の漢字の意味と、
古代中国における北斗七星には
『天(偉大なもの)との境界における枢(かなめの部分)』
という共通点が見えてきます。

天枢
天枢

参考文献:
『黄帝内経素問 上巻—現代語訳』
『黄帝内経素問 中巻—現代語訳』
『黄帝内経素問 下巻—現代語訳』
『黄帝内経霊枢 上巻—現代語訳』
『黄帝内経霊枢 下巻—現代語訳』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版
『鍼灸医学事典』 医道の日本社
『新字源』 角川書店
『図説 漢字の成り立ち事典』 教育出版

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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