<近日開催予定のイベント情報>
こちらのページに
一般の方向けの講座や学生向け勉強会の予定を
集約しております。ぜひご参照ください。
イベント情報ページ


こんにちは、大原です。
先日、当院の患者さんやそのお知り合いの方が
東洋医学講座へ参加いただきました。
その中のアンケートで講座の内容に質問を頂きましたので、
この場を借りて回答したいと思います。

↓アンケート(全体)

アンケートの内容:
本日の講座『テーマ:陰陽』の内容について、もっと詳しく知りたい内容があればお書きください。

↓<質問部分を抜粋>

<回答>
ご質問頂きありがとうございます。
講座では、四象や陰陽自体の説明に終始し、
この辺りの関係についての説明は詳しくしませんでしたので
できるだけ詳しく回答させて頂きたいと思います。

質問の図の、左側の枝分かれは、
太極〜両儀(陰陽)〜四象に至るもので、
図の右側は太極陰陽図ですね。
質問内容は、
図左の四象の少陽は、図右の太極陰陽図の「陰中の陽」に相当し、
同様に、
左の四象の少陰は、右の太極陰陽図の「陽中の陰」に相当するのかどうか
というこだと思います。
結論から言いますと、意味合いが異なってきます。

太極陰陽図の、「陰中の陽」は
・陰中に陽を含む
・陰が極まれば陽を生じる(→陰陽太極図の「陰中の陽」があるところは
陰が最も多い場所になります。)
という二つの意味を示し、
同様に「陽中の陰」は
・陽中に陰を含む
・陽が極まれば陰を生じる(→陰陽太極図の「陰中の陽」があるところは
陰が最も多い場所になります。)

という二つの意味を示すようです。

また、四象の、太陰、少陰、少陽、太陽は、
陰と陽それぞれの「量」についての意味合いを含めた概念で、
・太陰 →陰が多い
・少陰 →陰が少ない
・少陽 →陽が少ない
・太陽 →陽が多い
ということになります。

ですので、
陰陽太極図にある「陰中の陽」、「陽中の陰」には、
陰と陽の量の概念が無く
両者の意味合いは異なってくるということになります。

では、
陰陽太極図と四象とは無関係なのか?
ということになりますが、そうでは無いようです。

先ほど陰陽太極図の説明の中で少しだけ触れましたが、
陰陽対極図の中には、
陰と陽の両の多さについても表されている部分があります。
それは、図の中の、黒や白の面積の大きさによって、
陰と陽とのそれぞれの量を表しているようです。
太極陰陽図の陰陽を、黒と白の魚にそれぞれ喩えると、
・黒魚の頭 →太陰
・黒魚の尾 →少陰
・白魚の頭 →太陽
・白魚の尾 →少陽
を表すということになり、
図にしてみますと↓のようになります。

回答としては以上になりますが、
「陰中の陽」、「陽中の陰」とは具体的にどのようなものなのか、
『黄帝内経 素問』の中に、
一日の中における昼や夜などの時間帯を
陰陽で表した記述がありますので
参考にみてみましょう。

『黄帝内経 素問』 金匱真言論篇(第四)より
陰中有陰、陽中有陽。(陰中には陰があり、陽中には陽がある。)

平旦至日中、天之陽、陽中之陽也。(夜明けから日中は「陽中之陽」)
日中至黄昏、天之陽、陽中之陰也。(日中から日暮れは「陽中之陰」)
合夜至雞鳴、天之陰、陰中之陰也。(夜から夜中は「陰中之陰」)
雞鳴至平旦、天之陰、陰中之陽也。(夜中から夜明けは「陰中之陽」)

これは、
太陽の出ている明るい時間帯を陽とし、
その中でも太陽が昇って陽気が盛んな時間帯を「陽中の陽」、
太陽が沈んで陽気が減っていく時間帯を「陽中の陰」としています。
また、太陽の出ていない暗い時間帯を陰として、
その中でも、
太陽が昇って日の出に近づいてくる時間帯を「陰中の陽」、
夜闇が深まってくる時間帯を「陰中の陰」としています。
この一日の陰陽の変化のサイクルをイメージしてみると、
丁度、陰陽太極図の、陰と陽とのサイクルに
合ってくるように思います。

また、この一日のサイクルにおける「陽中の陰」とは、
太陽の日周運動で、太陽が最も高い位置において、
太陽が東から南へ昇っていく状態から、
西へ向かって沈んでいくという状態に換わることをいい、
これを「陽が極まりて陰となる」といいます。
(陽気が最も盛んな時間帯において、
太陽の運動が陽から陰に向かうということをいいます。)

「陰中の陽」も同様に、夜中において、
陰気が最も盛んな真夜中の時間帯に
ある時間を境に、日の出が近づいてくることをいい、
同様に「陰が極まりて陽となる」といいます。
ただ、「陰中の陽」の場合は
昼間の太陽のような観測する対象の星が無いため、
イメージがしにくいように思います。
星以外の観測の対象となるものがあったのかも知れませんが、
引き続き調べていきたいと思います。

手作りの餃子を作りました。(皮は市販のものですが)
手作りの餃子を作りました。(皮は市販のものですが)

<参考文献>
『黄帝内経 素問』 東洋学術出版社
『周易と中医学』 医道の日本社
『鍼灸臨床能力』 緑書房
『鍼の力』 緑書房
『鍼灸・漢方の名医になるための秘訣』 たにぐち書店

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

大原

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