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こんにちは、大原です。
東洋医学の思想で「陰陽」という考え方がありますが、
陰陽論のもとになったとされている易についてです。
「一陽来復」という言葉があります。
これは、
①冬が去り春が来ること。
②悪いことが続いたあと、ようやく物事がよい方に向かうこと。
というような意味があります。
この言葉は易からきたもので、
上記①②における
「冬」や「悪いこと」というのは
陰陽における、陰の極みということから、
易(六十四卦)においては下図の卦となります。
そのあと、
春に向かうこと、ようやく物事がよい方向に向かうという卦は
下図の卦となります。
上下二つの卦の違いが分かりますでしょうか?
よく見比べると、6つある爻(こう)の内、
一番下の爻が異なりますね。
上の卦は、6つとも同じ爻が重なったもので、
これらの爻は「陰」を表す爻であり、
すべての爻が陰爻であるという卦になります。
言い換えると、陰の極みということで、
季節で言うと真冬(冬至)のようなイメージになります。
下の図の卦は、よく見ると一番下の卦だけが陽交という卦です。
これは陰の極みの状態に対して、
地面の奧深くに小さな種のような陽気が内臓され、
まだまだ真冬で陰が強く、
春の温かさなどが感知できないような状態で陽の形は見えませんが、
陽気は下にすでに生じているということを表しています。
なので意味としては、
「①冬が去り春が来ること」というよりも、
まだまだ冬で寒い期間ですが
冬至の日を越えて1日の日照時間が
少し長くなってきた期間を指すということのようです。
同様に考えていくと、
「②悪いことが続いたあと、ようやく物事がよい方に向かうこと」
という意味も間違ってはいないと思いますが、
もう少し噛み砕いていくと、
「悪いことが起こってはいるが、
それらが解決に向かうような道筋がついたりして、
将来的に良い方向・結果へとなる過程に至った状態」をいうのかも知れません。
表面上は悪いことが起こっているようでも、
その見えないところで陽が潜んでいれば、
一陽来復、すなわち吉をあらわす卦ということに
なることになるのだと思います。
参考文献:
『易』 中国古典選
『易経』 岩波文庫
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是非参考文献を読んでみて下さい。