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どうも、新川です。

今回は曲池穴を解説致します。
※経穴の効能に関しては、あえて言及せず、
ツボに使われている漢字の語源や別名などをお伝えしたいと思います。


【曲池(手の陽明大腸経)】

曲がった池?
曲池が経穴名として出たのが、
『黄帝内経霊枢』の「本輸篇」
手の陽明大腸経の五輸穴を解説する際の
「入于曲池、在肘外輔骨陥者中。屈臂而得之。為合。」
という一文にみられます。

経穴名が付けられる際には、
気血の流れを「水」の流れに例えて、
海、沢、池、泉などが採用される傾向があります。

「池」の語源。

形成
水と音符也(まがりくねる意→)
とから成り、
もと、川が曲がりくねって水のとどこおる所の意を表したが、
のち、大きな水たまりの意に用いる。(角川新字源より)

「曲」の意味

経穴の書籍などで曲池の項目を見ると、
肘の関節を曲げたところにある池のような陥凹かんおう)(へっこんだところ)」
にある経穴として紹介されております。

なるほど。
関節部に「曲」という字があてられている
ということか。

そこで
「曲」とつく経穴をみると、

曲骨、曲池、曲垣、曲差、商曲、曲沢、曲鬢、曲泉

と8穴も存在します。・・意外と多いですね。
しかし、
これらの経穴全てが関節部にあるわけではありません。
頭や肩甲骨などにもあるので、
必ずしも
「曲」=「関節」というわけではなさそうです。

それでは、
「曲」の漢字についてみていきましょう。

象形

「曲」説文解字より 模写
「曲」説文解字より 模写

もと、木や竹などで作ったまげものの形にかたどり、
「まがる」「まげる」意を表す。
転じて、変化があることから、
楽曲・戯曲の意に用いる。(角川新字源より)

ここで注目は
「変化があること」

経穴の反応としてなのか、
効能としてなのか。
「曲げたところ」という意味よりも、
「変化があること」の解釈に経穴としての可能性を感じてしまいます。

曲池の別名として、以下の名称があります。

鬼臣、陽沢、洪池、鬼腿、肘尖

池以外にも、「沢」が出てくるので、
「溜まる」「(水で)潤う」という意味は納得いきます。

さて、
先ほどの別名のところで、

鬼臣、鬼腿

とあり、
この「鬼」というのが気になると思いますが、
孫思邈そんしばく(581年〜682年)が著した
千金翼方という書物の中に出てくる
『十三鬼穴』(癲病や譫語といった精神症状に対しての配穴理論)
の一つとして曲池穴が挙げられており、
その際の別称として上記の名称があります。

「鬼」には、

おなじみの
・人に害をあたえる悪神
としての「おに」の意味と、

・人間わざをこえたすぐれたはたらきの形容
という神秘的な力を表した意味も含まれており、
上記の諸症状に対して選穴したことを考慮すると
孫思邈は後者の意味で名づけたと考えられます。

曲池
曲池

参考文献:
『黄帝内経素問 上巻—現代語訳』
『黄帝内経素問 中巻—現代語訳』
『黄帝内経素問 下巻—現代語訳』
『黄帝内経霊枢 上巻—現代語訳』
『黄帝内経霊枢 下巻—現代語訳』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版
『鍼灸医学事典』 医道の日本社
『新字源』 角川書店
『図説 漢字の成り立ち事典』 教育出版

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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