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こんにちは、為沢です。
今回の中国医学史は、前回紹介した黄帝の続きです。
『黄帝内経』について御紹介します。
まず、『黄帝内経』とは中国医学の礎となる医学書で
現存する書物は『黄帝内経素問』(以下 『素問』)
『黄帝内経霊枢』(以下 『霊枢』)
という二部に分かれて構成されております。
『素問』『霊枢』の原型である
『黄帝内経』という書物は、作者不明でその成立事情も不明の書物です。
『黄帝内経』はB.C86年〜B.C26年までの間に
いくつかの医学書をまとめて宮廷医 李柱国によって
改訂・編纂されましたが、
その後、誰がいつどのようにこの『黄帝内経』をもとに
『素問』『霊枢』を再編纂したのかも不明とされております。
(恐らく、何百年と渡り
編纂や改訂を繰り返されたためではないか
という意見もあるようです。)
『素問』の内容は、医学の基礎理論を重点に説いており、
『素問』の最も早い注釈は、皇甫謐により『甲乙経』(3世紀)が著され、
これに続き、斉・梁(5世紀〜6世紀初)頃
全元起により『素問訓解』という書物が著されます。
(この注釈本は12世紀初に散逸されたそうです!残念)
その後、楊上善『黄帝内経太素』(7世紀)
と再編纂されております。
現存する『素問』は王冰(710年?~804年?)による注釈・編纂されたものですので
後から付加されたであろう内容もあるため、
一部の章は考証派に不評なところもあります。。
『霊枢』も『素問』と並ぶ
中国の歴史上最も古い中国医学の経典で、
これは『素問』に比べ、(基礎理論も述べているが)
診断・治療・鍼灸施術法などの臨床技術について
詳しく述べられている医書です。
『霊枢』という名前が出てくるのは王冰が著した
『素問序』(762年)が最初であり、
それまでは『九巻』『鍼経』という名で呼ばれておりました。
王冰は『素問』を再編纂し、その注釈を作成しましたが
『霊枢』の注釈は作らなかったみたいで、
『霊枢』の注釈本は16世紀になるまで現れず、
『素問』に比べると少ないです。
『黄帝内経』の成立については諸説ありますが、
伝説的な黄帝の名に医学の奥義を託し、
岐伯・雷公という副人物を配して論じられた
中国医学の礎となった書物であります。
参考文献:
『東洋医学 基礎編』
『いちばんわかる!東洋医学のきほん帳』学研
『東洋医学概論』医道の日本社
『現代語訳◉黄帝内経素問』
『現代語訳◉黄帝内経霊枢』
『中国医学の歴史』
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
画像:
『図像本草蒙筌』総論,首巻,巻之1-12
早稲田大学図書館古典籍総合データベースより
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ni01/ni01_00815/index.html
為沢