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こんにちは、為沢です。
今回は張景岳の『質疑録』の第十一章「論疝与腎経無相干」です。
和訓:
肺は上に在るを以て陽に屬し、腎、肝は下に在り陰に屬す。
腎は肝の母なり、肝は腎の子なり、腎肝は同病なり、乙癸同源の義なり。
故に肝経に病が有れば、必ず化源に推して腎に与る。
如し疝は足厥陰肝経の病と為せば、
以て其の陰器を環り少腹に抵り睾丸に控きて痛みを為す者は皆肝の属す所なり。
而して『素問』に又、腎脉の主病は、少腹より上りて心をきて痛み、
前後を得ず、衝疝を為す。
則ち疝は未だ嘗つて腎経を本と為す病にあらざるはなし、
何ぞ丹溪は乃ち
「疝は肝経を主とし、腎経とは絶えて相干すること無し」と云えるや?
・肺は上に存在しているので陽に属し、肝と腎は下に存在しているので陰に属す。
・腎は肝の母であり、肝は腎の子である。
・腎肝は病が同じくし、これは乙癸同源なりの意である。
(乙癸同源=肝腎同源の意)
・従って肝経に病があれば必ず気の源である腎に及ぶ。
・もしも疝を足厥陰肝経の病であるとすればその病証である。
・陰器に病が及ぶ、下腹部に病が及ぶ、
睾丸がひきつって病むとかの病証は皆、肝の病証に属することになるが
『素問』骨空論の中には
「腎経の主病は少復より上りて心を衝きて痛み、前後を得ず、衝疝と為る」
とあり、疝は腎経を本とする病ではないということはないのである。
(こちらを参照→【古医書】素問:其ノ六十 骨空論篇)
・何故、丹溪は
「疝は肝経を主とし、腎経とは決して干渉せず」と言ったのであろうか?
朱丹溪 『丹溪手鏡』巻之下・疝(十六)より
脉寸口弦紧为寒疝(弦则卫气不行,不行则恶寒。)
寸口迟缓为寒疝(迟为寒,缓为气,气寒相搏故痛。)
脉沉紧豁大者为虚。脉滑为疝。急为疝。搏为疝。见于何部而知其藏所病。
盖病全在厥阴肝经。
有因湿热在经,抑遏至久,又感外寒,湿热被郁而作痛,
或大劳则火起于筋,醉饱则火起于胃,房劳则火起于肾,大怒则火起于本经。
参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
『宋本傷寒論』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・素問』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・霊枢』東洋学術出版社
『校釈 諸病源候論』緑書房
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為沢