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こんにちは、為沢です。
今回の中国医学史は、前回紹介した黄帝の続きです。
(【中国医学史】黄帝①)
中原平定後、黄帝の在位期間は長く、政治も安定し国は繁栄しました。
黄帝在位時に文字や音楽、数の数え方、
宮室、舟車、衣装、指南車など様々な発明品が作られたため
黄帝は中国の祖として奉られています。
「そんなに黄帝は何でもできたのか?」と思いますが、
調べてみるとそういうことでもなく、
黄帝周辺の有能な臣下による功績のようです。
以下、黄帝の臣下による数々の発明を紹介致します。
①衣服
黄帝の最初の妃である嫘素が養蚕を始め、
絹の衣服が作られるようになる。
『農書』王禎(1313年)
“《淮南王蠶經》云:黃帝元妃西陵氏始蠶。
蓋黃帝製作衣裳、因此始也。”
和訓:
『淮南王蚕経』、黄帝の元妃 西陵氏(嫘素)始めて蚕す。
蓋し黄帝衣裳を製作、因て此に始なり。
中国では嫘素は神話上の人物とされており
出生は西陵(今の四川省)であったため、西陵氏と記されております。
②文字
史官(歴史と儀礼をつかさどる官人)の倉頡は漢字の元になる文字を発明。
『説文解字』許慎(100年)
“黄帝之史倉頡見、鳥獸蹄迒之迹、知分理之可相別異也、初造書契。”
和訓:
黄帝の史宮倉頡は、
鳥や獸の足跡を見、その種類が弁別できることを知るなり、
初めて書契(文字)を造る。
倉頡は一般には黄帝の部下として知られていますが、
道教中では「文字の神」として祀られています。
この倉頡だけでも記事にできそうですが、
黄帝の記事に戻ります。
③音楽
楽官を司ったとされる中国の神話の神・伶倫により音律が発見される。
『呂氏春秋』(B.C239年)
“昔黃帝令伶倫作為律。伶倫自大夏之西,
乃之阮隃之陰,取竹於嶰谿之谷,以生空竅厚鈞者、
斷兩節間、其長三寸九分而吹之,
以為黃鐘之宮,吹曰「舍少」。
次制十二筒,以之阮隃之下,聽鳳皇之鳴,以別十二律。
其雄鳴為六,雌鳴亦六,以比黃鐘之宮,適合。
黃鐘之宮,皆可以生之,故曰黃鐘之宮,律呂之本。
黃帝又命伶倫與榮將鑄十二鐘,
以和五音,以施英韶,以仲春之月,
乙卯之日,日在奎,始奏之,命之曰咸池。”
黄帝の命令で崑崙山の北へ行き、
鳳凰の鳴き声を聞き、鳳(雄)の高低六つの音と、
凰(雌)の六つの音を合わせ、十二律を整え
それに対応する12個の鐘を鋳造したとされております。
④医学
岐伯や雷公らとの問答形式で記された
『黄帝内経』が著されます。
本ブログや当院での講座でも度々出てくる、
『黄帝内経 素問』『黄帝内経 霊枢』のことです。
次回はこの黄帝内経について詳しく御紹介させて頂きます。
参考文献:
『東洋医学 基礎編』
『いちばんわかる!東洋医学のきほん帳』学研
『東洋医学概論』医道の日本社
『中国医学の歴史』
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
画像:
『図像本草蒙筌』総論,首巻,巻之1-12
早稲田大学図書館古典籍総合データベースより
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ni01/ni01_00815/index.html
為沢