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どうも、新川です。
「【漢字解説】シリーズ」(経穴名の漢字の意味を探る)を
しているため、漢字にまつわる書籍を読んでおりますが、
こちらの書籍は、
漢字界の大御所達の解釈を、
あくまで論理的に、疑問を投げかける一冊です。
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ここからが本篇です。
『温病条辨』巻首 原病篇
の続きを 綴って参ります。
温病条辯
【巻首 原病篇】
《刺熱篇》曰、
「肝熱病者、小便先黄、腹痛多臥、身熱。
熱争則狂言及驚、脇満痛、手足躁、不得安臥。
庚辛甚、甲乙大汗、気逆則庚辛日死。
刺足厥陰・少陽。
其逆則頭痛員員、脈引衝頭也。」
→《刺熱篇》に曰う、
「肝の熱病は、小便先ず黄ばみ、腹痛み多く臥し、身熱す。
熱争えば則ち狂言し及び驚き、脇満痛し、手足躁ぎ、安臥するを得ず。
庚辛に甚だしく、甲乙に大いに汗し、気逆すれば則ち庚辛の日に死す。
足厥陰・少陽を刺せ。
其逆すれば則ち頭痛み員員とするは、脈引き頭を衝けばなり。」
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この条から、
黄帝内経素問の《刺熱篇》から引用し、
五臓の熱病の症候・予後・鍼刺などについて述べられている。
本条は肝の熱病に関してである。
解釈:
・小便先黄
→肝脈は陰器をまとい、疏泄を主どるため。
肝熱で疏泄が失調すると、前陰に影響が及び尿が黄色くなる。
・腹痛多臥
→肝気の疏泄が失調すると、脾土に横逆し、
腹が痛み横になろうとする。
・身熱
→熱病のため
・熱争
→邪熱が甚だしく正気と争っていることをさす。
・則狂言及驚
→手厥陰心包経に影響がおよぶと、
言語錯乱・驚きやすくなる。
・脇満痛
→肝気の疏泄が失調
・手足躁
→熱盛動風のため
・不得安臥
→肝熱が傷陰して少陰腎経の陰液を損耗し、虚火が少陰心経を上擾するため
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・庚辛
→「庚辛」は時期を表し、「金」を示す。
金は木を克すので、肝の病変が増悪する。
・甲乙大汗
→甲乙は「木」の時期を表す。
「木」に属する肝の正気が旺盛になるので
邪熱を汗と共に外へ泄するので、治癒に向かう。
・気逆則庚辛日死
→「気逆」は病変が悪化する傾向にあることをいい、
「庚辛の金日」には悪化して死亡する。
・刺足厥陰・少陽
→この二経を刺鍼することで、
肝熱を外泄する狙いがある。
・其逆則頭痛員員、脈引衝頭也
→肝気が経にそって上逆し、上を衝くと頭痛が起こる。
「員員」は、ます(益)と解釈すると
「ますます、どんどん」となる。
続く
参考文献:
『黄帝内経素問』
『黄帝内経霊枢』
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中医臨床のための温病条弁解説』医歯薬出版株式会社
新川