<近日開催予定のイベント>

「素問を読もう!」勉強会のお知らせ
毎週火曜19時〜 または 毎週木曜13時〜 (途中からの参加も可能です。)


こんにちは、為沢です。
前回は、澤田健先生をご紹介致しました。
今回も昭和の鍼灸を語る上で、欠かせない鍼灸師がいらっしゃいます。

柳谷素霊やなぎや それい(1906年〜1959年)
現代鍼灸を学ぶ上では、澤田健先生と同様に
教科書にも紹介される重要な先生であります。

1906年、青森県に生まれ、北海道函館市で育ち、幼少より父祖の道を習い、
1923年、17歳にて鍼灸師の資格を取得。
古典鍼灸医学の研究に専心し、
1927年に素霊塾を創設。
後進の育成と古典鍼灸医学の研鑽に励む。
1931年、日本大学法文学部宗教科卒業、
宗教学士の称号を受ける。
1932年、アメリカ合衆国カンザス州立大学医学部に論文提出、
ドクターの称号を受ける。
1936年、日本高等鍼灸学院を創立。
1955年、欧州各国の鍼灸界の招聘により、
日本最初の鍼灸医学の指導者として渡欧。
1957年、東洋鍼灸専門学校を創立。
1959年、再度、渡欧の前に病没。享年52歳。

柳谷素霊先生の経歴を簡単に紹介しましたが
「素霊」という号は、
中国最古の古典、『黄帝内経・素問』の”素”と
鍼の経典とされている『霊枢』の”霊”から
一文字ずつ取って号されたものであり、
いかに古典鍼灸に情熱を燃やされたか十二分に伝わります。
素霊先生の活動は、とても濃密だったようですが
今の鍼灸師も身近に感じるものの中に、
現在もある鍼灸専門誌『医道の日本』は
柳谷先生により創刊されたようです。

また、素霊先生の著書『簡明不問診察法』
のあとがきに、ご子息・柳谷清逸先生による一文に
印象に残った文章があります。

”平素より よく言われた言葉の数々の中で、
今なお印象深く思い出される言葉に、
「陰徳を積めば、陽徳あらわる」というのがある。
勿論、陽徳欲しさの陰徳という、浅薄で誤った訓えではなく、
陰陽善悪の対立抗争を遙かに越えた
玄のまた玄からくる信条と訓えの言葉であったのである”

と記されております。
古典の研究者としてもさることながら、
臨床家としての哲学もとても深いものを感じます。


参考文献:
『東洋医学 基礎編』
『いちばんわかる!東洋医学のきほん帳』学研
『東洋医学概論』医道の日本社
『中国医学の歴史』
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
『カラー図解 東洋医学基本としくみ』西東社
『針灸の歴史 悠久の東洋医術』大修館書店
『実地応用 簡明不問診察法』石山針灸医学社

為沢

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