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どうも、新川です。

春先の鹿
春先の鹿

写真は、
奈良の東大寺にいた子鹿です。

毛の生え替わりの時期なのでしょうか。
毛がまだらになっている鹿が多くいました。

その中の一頭が鹿せんべい屋に侵入しようとしたところ、
店員のおばさんに一喝されていました笑

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ここからが本篇です。
『温病条辨』巻首 原病篇
の続きを 綴って参ります。


温病条辯

【巻首 原病篇】

《評熱病篇》曰、
「黄帝問曰、有病温者、汗出輒復熱、而脈躁疾、不為汗衰、狂言不能食。病名為何。
岐伯対曰、病名陰陽交。交者死也。
帝曰、願聞其説。
岐伯曰、人所以汗出者、皆生於穀、穀生於精。今邪気交争於骨肉而得汗者、是邪却而精勝也。
精勝、則当能食而不復熱。復熱者、邪気也。汗者、精気也。今汗出而輒復熱者、是邪勝也。不能食者、精無俾也。
病而留者、其寿可立而傾也。且夫熱論曰、汗出而脈尚躁盛者死。
今脈不与汗相応、此不勝其病也。其死明也。狂言者、是失志。失志者死。今見三死、不見一生、雖愈必死也。

→《評熱病篇》に曰う、
「黄帝曰、温を病む者有り、汗出でてすなわち復た熱し、
而して脈の躁疾は、汗が為に衰えず、狂言し食すること能わざるは、病名づけて何と為すや。
岐伯対えて曰く、病陰陽交と名づく。交なる者は死するなり。
帝曰く、願わくは其の説を聞かん。
岐伯曰く、人汗出づるゆえんの者は、皆穀より生じ、穀精を生ずればなり。
今邪気骨肉に交争して汗を得る者は、是れ邪却きて精勝つなり。
精勝てば、則ちまさによく食らいて復た熱せず。
復た熱する者は、邪気なり。
汗なる者は、精気なり。
今汗出でて輒復た熱する者は、是邪勝なり。
食すること能わざる者は、精になきなり。
病みて留まる者は、其の寿立ちどころにして傾くべきなり。
且つ夫れ熱論に曰く、汗出でて脈なお躁盛なる者は死す。
今脈と汗と相い応ぜざるは、此れ其の病に勝たざるなり。其の死すること明らかなり。
狂言する者は、是れ志を失す。志を失す者は死す。今三たび死あらわれて、
一生も見われざるは、愈ゆると雖ども必ず死するなり。

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この条では、
黄帝内経素問の《評熱病論》から引用し、
陰陽交の死候などが述べられている。

解釈:
熱病で、汗が出たのに熱が下らず脈も躁疾のままであり、
言語が錯乱して食べられなくなるのは、
「陰陽交」
すなわち陽邪が陰分に入り陰精を損耗した病態で、死証である。

「陰陽交」
→張景岳の説
「陽邪が陰分に入ってしまうと、
陰気は〔自己の領分を〕守り切れない。
そこでこれを陰陽交という」
つまり熱邪(陽邪)が陰分に深く入れば、精気は消えとけ
しかも熱邪が退かないので、死症である。

汗が出たのちに熱が下がらず
「脈躁盛」「不能食」「狂言」という三死の症状があって、
一つも生の徴候が現れなければ、
汗が出てよくなるように見えても必ず死に至る。

葉子雨の注釈:
「死証を云うと雖も、また生く可きの理あり、
便ち棄つるべからざるは、此仁者の心なり」
→内経には「必ず死す」とあるので、「生きる」とは言いきれないが、
原因を知り対処出来れば、救うことが出来る可能性もある。

続く


参考文献:
『黄帝内経素問』
『黄帝内経霊枢』
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中医臨床のための温病条弁解説』医歯薬出版株式会社

新川

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