<近日開催予定のイベント>
3月18日(日) :告知!第7回 鍼灸学生の為の勉強会
どうも、新川です。
患者様との会話の中で受け取った
素朴な疑問、質問などにお答えしていきます。
今回は、
Sさんより
「鍼の素材は金属じゃないとダメなんですか?」
とご質問をいただきました。
鍼灸学校では、
・長さや太さに種類があって、材質はステンレスが主流で主に使い捨てが普及している
といった説明ぐらいで、
「なぜ金属なのか」という説明はなかったように思います。
(僕が聞き逃していただけだったらすいません。)
鍼の歴史をたどっていくと、
「
先端を鋭利にした石の素材のものがありました。
中国最古の漢字解説書である『説文解字』には、
「砭」の解釈として
「砭は石を以て病を刺すなり」とありますように
体内の膿をかき出すための切開用としての役割や
患部に浅く刺すといった方法が用いられていました。
最近の考古学の研究では、
砭石の種類が多くあり、その使用用途も様々だったようです。
この時点では石だったわけですね。
その後、動物の骨から出来た骨鍼、竹からつくった竹鍼(
少なくとも前漢時代(紀元前206年〜8年)には金属製の鍼が使用されていたとされています。
実際、
中山王劉勝墓(前漢の皇族の墓)にて
金鍼3種4本・銀鍼5本が発掘されております。
『帝王世紀』(晋(265年〜420年)の皇甫謐が編纂した歴史書)には、
古代九鍼は伏羲(古代中国の帝王、一説には紀元前3000年頃に存在していたとされる)から始まったとされておりますが、
考古学的にはまだ確証が取れていないのが現状です。
他の素材でも代用できないかと、
試行錯誤した中で、骨や竹、陶器などを用いたのか、
それとも、それぞれの素材によって使用する目的を変えていたとすると興味深いですが、
考古学の分野に関しては、
今後、専門の研究者さんの発見を待つばかりです。
そもそも腐食しやすい素材で作られた鍼ですと、
後世に残りにくいというのも考えられる話です。
話を元に戻しますと、
「鍼の素材は、金属以外でも問題ない。」です。
ただ、実際に金属以外のものを使用するとなると、
衛生面や材料を入手する難しさなどの問題を
解決する必要がありそうですね。
参考文献
『黄帝内経 素問』
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『鍼灸医学辞典』 医道の日本社