<近日開催予定のイベント>
「素問を読もう!」勉強会のお知らせ
毎週火曜19時〜 または 毎週木曜13時〜 (途中からの参加も可能です。)
こんにちは、大原です。
今回は、「三焦腑之大事(さんしょうのふのだいじ)」です。
諸書に三焦は名有りて形無しとも云い、
又上中下と分かち三焦の腑と云う由(よし)有りて、實(実)の事無し。
しかるに、當(当)流にて明らかに知る事、重寶(実)これに過ぎず。
扨(さて)、何れの處(処)を三焦の腑と云うなれば、即ち臍中神闕是なり。
何を以て云うなれば、父の一滴、水母の胎内に宿る。
一(はじめ)臍中に受け留め、夫(そ)れ自(よ)り日を重さね、月を積みて人と生(な)る。
天の一水を生ずるこれなり。
還(また)は伊奘諾(いざなぎ)伊奘冉(いざなみ)の夫婦の二柱の御神、
豈(あに=「どうして」)此下に土(くに)なからんやとて、
天の御鉾(みほこ)を下ろし掻探(かきさぐ)り給へ(え)ば、
鉾(ほこ)の滴(したたり)凝(こ)って一の嶋(しま)となる。
を(お)のころ嶋これなりと神書に有る事、茲(この)義なり。
臍即ち一身のくくりとす。
設令(たとえ)ば、袋の口を結(くく)るが如し。
此故に神闕とも三焦の腑とも號(ごう)して、
生死、病の善悪を神闕の動脉にて知る事、四つの脉に證(あら)わす。
最も秘すべし。是れに付き、口傳(くでん)數多(あまた)これ有り、
委(くわ)しくは奥田意伯門人と成りて印可の上にて相傳有るべきなり。
ここで出てくる「オノゴロ島」とは
神々がはじめに作ったという島で、
日本神話などにでてくる島のようです。
オノゴロ島のように、人も、最初にできるのが臍であると述べられています。
すなわち、臍は「一身のくくり」ということで、
病の善悪や生死をも知ることができ、
その診方については口伝による、とあります。
そのような全体を知れる臍を三焦の腑と表していますが、
三焦は名あって形なしと呼ばれる腑です。
三焦とは、上焦、中焦、下焦の3つを言いますので
身体の範囲でいうと全体をいうことになり、
他の臓腑とはちょっととらえにくいように思われます。
ですが、この記述にあるように
一身のくくりが三焦であるという内容などを
みていきますと、
なんとなく三焦の正体の理解が深まるのではないでしょうか。
続きます。
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鍼道秘訣集を読む その1 → 鍼道秘訣集序
鍼道秘訣集を読む その2 → 一.當流他流之異
鍼道秘訣集を読む その3 → 二.當流臓腑之辯
鍼道秘訣集を読む その4
鍼道秘訣集を読む その5
鍼道秘訣集を読む その6 → 三.心持之大事
鍼道秘訣集を読む その7 → 四.三清浄
鍼道秘訣集を読む その8
鍼道秘訣集を読む その9
鍼道秘訣集を読む その10
鍼道秘訣集を読む その11
鍼道秘訣集を読む その12
鍼道秘訣集を読む その13 → 五.四脉之大事
鍼道秘訣集を読む その14
鍼道秘訣集を読む その15 → 六.火曳之針
鍼道秘訣集を読む その16 → 七.勝纍之針
鍼道秘訣集を読む その17 → 八.負曳之針
鍼道秘訣集を読む その18 → 九.相曳之針
鍼道秘訣集を読む その19 → 十.止針
鍼道秘訣集を読む その20 → 十一.胃快ノ針
鍼道秘訣集を読む その21 → 十二.散針
鍼道秘訣集を読む その22 十三.鍼不抜抜事
鍼道秘訣集を読む その23 十四.鍼痛
鍼道秘訣集を読む その24 十五.知必死病者習
鍼道秘訣集を読む その25 十六.吐針
鍼道秘訣集を読む その26 十七.瀉針
鍼道秘訣集を読む その27 十八.車輪之法
鍼道秘訣集を読む その28 十九.実之虚 & 二十.虚之実
鍼道秘訣集を読む その29 二十一.実実 & 二十二.虚虚
鍼道秘訣集を読む その30 二十三.知寒気事
鍼道秘訣集を読む その31 二十四.知腫気来事
鍼道秘訣集を読む その32 二十五.瘧観之大事
鍼道秘訣集を読む その33 二十六.膈之針
鍼道秘訣集を読む その34 二十七.中風針之大事
鍼道秘訣集を読む その35 二十八.亡心之針
鍼道秘訣集を読む その36 二十九.丹毒之針
鍼道秘訣集を読む その37 三十.驚風之針
鍼道秘訣集を読む その38 三十一.疳之針
鍼道秘訣集を読む その39 三十二.瘧毋之針
鍼道秘訣集を読む その40 三十三.一之針
鍼道秘訣集を読む その41 三十四.胃氣有無之大事
参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。