<近日開催予定のイベント>
3月20日(火)19時〜 または 3月22日(木)13時〜
「素問を読もう!」勉強会のお知らせ
こんにちは、大原です。
今回は、「胃氣有無之大事(いのきあるなしのだいじ)」です。
胃の氣有る病人は、病(やまい)重くとも死なず。
たとえ病軽くとも、胃の氣甲斐無き時は死に趣くなり。
一説の習いに、食胃に入りて後に胃を診(うかが)うに、
動脉来たるを胃の氣有りとして、
食後に動脉胃の腑に来ざるを胃の氣無しと云う。
指の腹を以て診(うかが)うなり。
六脉無き時、此の胃腑より邪氣出て両脾・鳩尾を塞ぐ故なれば、
脾の募、胃邪を拂(はら)い退(の)ぞく時は六脉出る。
是尤も秘事とする事なり。
善善(よくよく)是巻を得心して給まわば、
病い愈す事手の裏(うち)に有り。
胃の気がある人は病が重くても死なず、
病が軽くても胃の気がしっかりしていない人は
亡くなってしまうのである。
ある教えでは、食べ物を口にしたあとに胃を診て、
脈を感じるものを胃の気ありとし、
脈が胃に来ないものを胃の気なしという。
指の腹を用いて診るものである。
六脈の無いとき、この胃の腑から邪気が出て
両方の脾募・鳩尾を塞いでいる場合には
脾募・胃の邪を払い除くと六脈が出てくる。
これは簡単に教えることができない奥義である。
この内容をよく理解して納得することができれば
病を治すことは思うままである。
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「動脈」については前に説明がありました。
五.四脉之大事 記事リンク→ 鍼道秘訣集を読む その13
この「五.四脉之大事」では、夢分流における大事な4つの脈を
臍で診るとありました。
今回の内容では、「六脈」「指の腹で診る」とあることから
臍ではなく寸口部(手首)の脈を診て
胃の気の有無を診るということだと思います。
食事のあとに、
寸口部の脈がトントントンと脈を打ってくれば
胃の気があるということです。
胃は食べた物を受け止め、
それを臓腑が生命力に変えていきますが、
その生命力を作る力が胃の気ということです。
胃の働き=胃の気というわけではなく、
もっと広く生命力を飲食物から作る力が
胃の気ということになると思います。
五臓六腑でいうと、胃はもちろんですが、脾や腎、心など
あらゆる臓腑が関係します。
ここでの治療の考え方のポイントをまとめると
・脈が無く
・胃の腑から邪気が出て
・その邪気が脾募・鳩尾を塞いでいる場合
→脾募と胃の邪気を払い退けると脈が出てくる。
これを理解することが非常に重要と説かれています。
続きます。
〜Back Number〜
鍼道秘訣集を読む その1 → 鍼道秘訣集序
鍼道秘訣集を読む その2 → 一.當流他流之異
鍼道秘訣集を読む その3 → 二.當流臓腑之辯
鍼道秘訣集を読む その4
鍼道秘訣集を読む その5
鍼道秘訣集を読む その6 → 三.心持之大事
鍼道秘訣集を読む その7 → 四.三清浄
鍼道秘訣集を読む その8
鍼道秘訣集を読む その9
鍼道秘訣集を読む その10
鍼道秘訣集を読む その11
鍼道秘訣集を読む その12
鍼道秘訣集を読む その13 → 五.四脉之大事
鍼道秘訣集を読む その14
鍼道秘訣集を読む その15 → 六.火曳之針
鍼道秘訣集を読む その16 → 七.勝纍之針
鍼道秘訣集を読む その17 → 八.負曳之針
鍼道秘訣集を読む その18 → 九.相曳之針
鍼道秘訣集を読む その19 → 十.止針
鍼道秘訣集を読む その20 → 十一.胃快ノ針
鍼道秘訣集を読む その21 → 十二.散針
鍼道秘訣集を読む その22 十三.鍼不抜抜事
鍼道秘訣集を読む その23 十四.鍼痛
鍼道秘訣集を読む その24 十五.知必死病者習
鍼道秘訣集を読む その25 十六.吐針
鍼道秘訣集を読む その26 十七.瀉針
鍼道秘訣集を読む その27 十八.車輪之法
鍼道秘訣集を読む その28 十九.実之虚 & 二十.虚之実
鍼道秘訣集を読む その29 二十一.実実 & 二十二.虚虚
鍼道秘訣集を読む その30 二十三.知寒気事
鍼道秘訣集を読む その31 二十四.知腫気来事
鍼道秘訣集を読む その32 二十五.瘧観之大事
鍼道秘訣集を読む その33 二十六.膈之針
鍼道秘訣集を読む その34 二十七.中風針之大事
鍼道秘訣集を読む その35 二十八.亡心之針
鍼道秘訣集を読む その36 二十九.丹毒之針
鍼道秘訣集を読む その37 三十.驚風之針
鍼道秘訣集を読む その38 三十一.疳之針
鍼道秘訣集を読む その39 三十二.瘧毋之針
鍼道秘訣集を読む その40 三十三.一之針
参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。