<近日開催予定のイベント>
3月18日(日) :告知!第7回 鍼灸学生の為の勉強会


こんにちは、大原です。
今回は、「一之針(ひとつのはり)」です。


諸病共に色々治療するといへども、効(しるし)無き時は神闕に針するなり。
最も療治大事なり。よくよく見究(みきわ)めて針すべきなり。


意味としては
あらゆる病に対して色々治療をしても効果がないときには
神闕(臍の中心)に鍼をする。
病を治すことが大事である。
神闕に鍼をするときには
しっかりと見極めて治療をするべきである。
となります。

さて、「しっかりと見極めて」とありますが、
何を見極めるのかが気になりますね。

臍は重要なポイントであることから、
下手に鍼をすると
症状を悪化させてしまうことがあるということだと思います。

どのように重要なのか、鍼道秘訣集では
「二十八.亡心の鍼」(リンク:鍼道秘訣集を読む その35)や、
この後の
「三十五.三焦の腑の大事」などに
詳しく記されています。

参考:三十五.三焦の腑の大事より臍について
臍即ち一身のくくりとす。設令(たとえ)ば、袋の口を結(くく)るが如し。
此故に神闕とも三焦の腑とも號(ごう)して、
生死、病の善悪を神闕の動脉にて知る事、四つの脉に證(あら)わす。

これらの内容から、
臍に対して治療を行うということは
一身全体を動かすということになり、
しかもこの時代の打鍼術は、
現代で主に用いられている先の丸いものではなく、
先の尖った太めの鍼を用いていたようですので、
相当強い治療になると思います。

続きます。


〜Back Number〜
鍼道秘訣集を読む その1 →  鍼道秘訣集序
鍼道秘訣集を読む その2 → 一.當流他流之異
鍼道秘訣集を読む その3 → 二.當流臓腑之辯
鍼道秘訣集を読む その4
鍼道秘訣集を読む その5
鍼道秘訣集を読む その6 → 三.心持之大事
鍼道秘訣集を読む その7 → 四.三清浄
鍼道秘訣集を読む その8
鍼道秘訣集を読む その9
鍼道秘訣集を読む その10
鍼道秘訣集を読む その11
鍼道秘訣集を読む その12
鍼道秘訣集を読む その13 → 五.四脉之大事
鍼道秘訣集を読む その14
鍼道秘訣集を読む その15 → 六.火曳之針
鍼道秘訣集を読む その16 → 七.勝纍之針
鍼道秘訣集を読む その17 → 八.負曳之針
鍼道秘訣集を読む その18 → 九.相曳之針
鍼道秘訣集を読む その19 → 十.止針
鍼道秘訣集を読む その20 → 十一.胃快ノ針
鍼道秘訣集を読む その21 → 十二.散針
鍼道秘訣集を読む その22 十三.鍼不抜抜事
鍼道秘訣集を読む その23 十四.鍼痛
鍼道秘訣集を読む その24 十五.知必死病者習
鍼道秘訣集を読む その25 十六.吐針
鍼道秘訣集を読む その26 十七.瀉針
鍼道秘訣集を読む その27 十八.車輪之法
鍼道秘訣集を読む その28 十九.実之虚 & 二十.虚之実
鍼道秘訣集を読む その29 二十一.実実 & 二十二.虚虚
鍼道秘訣集を読む その30 二十三.知寒気事
鍼道秘訣集を読む その31 二十四.知腫気来事
鍼道秘訣集を読む その32 二十五.瘧観之大事
鍼道秘訣集を読む その33 二十六.膈之針
鍼道秘訣集を読む その34 二十七.中風針之大事
鍼道秘訣集を読む その35 二十八.亡心之針
鍼道秘訣集を読む その36 二十九.丹毒之針
鍼道秘訣集を読む その37 三十.驚風之針
鍼道秘訣集を読む その38 三十一.疳之針
鍼道秘訣集を読む その39 三十二.瘧毋之針


参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房
論文『日本鍼灸古流派の研究 ―腹診および腹部刺鍼を中心として―』

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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