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3月18日(日) :告知!第7回 鍼灸学生の為の勉強会


こんにちは、為沢です。

今回は張景岳ちょうけいがくの『質疑録しつぎろく』の第七章「論無痰不作瘧」の其の二です。



和訓:
乃ち厳用和げんようかは瘧を論じて、痰無ければ瘧を作さずと謂えり、
若し痰を指して瘧邪の主と為すならば、
反って瘧邪を以て痰病の客と為すなり。
いずくんぞ人身の津液の痰に変じ、而して寒と為り熱と為り以て瘧と成る者の有らんや。
痰は本瘧邪に因りて生ず、而して痰に因りて瘧邪の有る者に非ず。
如し痰の脾に生ずれば、脾は湿を惡みて則ち痰は動ず、
痰は腎を本とす、腎陰虚すれば則ち水は泛ぶ。
瘧病の痰は、風寒の邪に因りて生じたる者なり。
豈んぞ無痰で有るならば便ち瘧を昨さずとする者の有らんや。
楊仁斋、許叔微に至りては、更に瘀血、
停涎、黄水を以て主として瘧病の根と為す有り、
而して後の瘧を治する者は、
均しく常山、草果、檳榔、砒信を以て、吐痰、消瘀、截瘧の法と為し、
徒らに人の元気を戕して、敗脾傷胃をなし、以て夭枉に致らせるなり。


厳用和げんようか(1200年〜1267年)
南宋の医家。主な著書に『済生方』があり、
厳用和自ら五十余年におよぶ臨床経験をまとめ、
1253年に出版されたが、残念ながら原著は早くに亡逸。

・厳用和は「痰無ければ瘧を作さず」と云ったが、
もし痰が瘧邪の主であるとするなら、
瘧邪は痰病の客ということになってしまう。

・津液が痰に変化して、それが寒となったり
熱となったりして瘧病を作ることができるのであろうか?

・痰は元来、瘧病によって生じるものであり、
痰によって瘧邪が生じるものではない。

・もし痰が脾に生じれば
脾は湿を嫌うので痰が動いて痰病の症状が生じる。
痰というものは腎を根源にしていて、
腎陰(腎陽の間違いという説あり)が虚すれば水が泛んで
脾に痰を生じる。

・瘧病の痰は風寒の邪によって生じたものである。
もしも痰が無ければ瘧を生じないことがあるだろうか?

・楊仁斋や許叔微は、更に瘀血、停涎、黄水といったものが
瘧病の根の主たるものであるとしたので、
その後の治療の方法は常山、草果、檳榔、砒信というような
薬をもって吐痰、消瘀、截瘧の法として用いたので
いたずらに病人の元気を損ねて脾胃を傷めて、
そのため人の命を中途で絶つ結果を招いてしまった。

・楊仁斋
13世紀末の南宋の医家。
代々の医家で、幼時より医学を志し、
『内経』『難経』『傷寒論』等の古医書や歴代の著作を研究した。

楊仁斋の著作:
『傷寒類書活人総括』『仁斋直指方論』『仁斋小児方論』
『医学真経』『察脈総括』

許叔微きょしゅくび
宋代の医家。幼年の頃、家は貧しく、父母は相次いで病死。
成年になって医学を熱心に研鑽し、
治療を求められれば貧富を問わず細心の治療を施した。

許叔微の著書:
『傷寒百証歌』『傷寒発微論』『傷寒九十論』
『類証普済本事方』『活法』『辨証』『翼傷寒論』『仲景脈法三十六図』


参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・素問』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・霊枢』東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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