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12月6日(水) :告知!第6回、鍼灸学生の為の勉強会


こんにちは、大原です。
今回は、「膈之針」です。


二十六.カク之針

膈症之カクシヤウノ事諸書ニ記ス故ニ不書當流腹ノ觀様ミヤウ
鳩尾キウヒ脾胃ヒイノ腑ニ邪氣アリ大法痰火タンクワ
シンフサギヌル故胸中ケウチウカワキテ食トヲカタタマタマ
通リ胃中ニトドマル様ナレドモ胃火サカンナルニ依軈ヨリヤカ
カヘシテ食ヲウケ是皆燥痰火サウタンクワサカン
ナリ是故ニ乾燥カンサウノ物ヲ堅禁カタクイム也此療治尤モ
六箇敷ムツカシシ其内コユタル人ノ膈飜胃カクホンイ十ニ七八モ
痊ルヤセタル者ハ  シ愈鳩尾兩脾ノ募胃ホイ
邪氣ヲ退シリゾクル様二スベシ大便ケツスル也


現代の読み方に直します。

膈症の事、諸書に記す故に書かず。
当流腹の観る様は、鳩尾・両脾胃の腑に邪氣あり、
大法・痰火上りて心を塞さぎぬる故、胸中乾きて食通り難く、
偶(たまたま)食通り、胃中に止まる様なれども
胃火熾(さかん)なるにより、
軈(やが)て返して食を受けず。
これ皆、燥痰火(そうたんか)熾(さかん)なるが故なり。

これの故に乾燥(かんそう)の物を堅く禁(い)むなり。
此れ療治するといえども六箇敷(むつかし)し。
その内、肥えたる人の膈飜胃(かくほんい)十に七八も痊える。
痩せたる者は愈え難し。
鳩尾・両脾の募・胃の腑の邪氣を退(しりぞ)くる様にすべし。
大便結するなり。


意味を考えてみます。

膈症の事はいろいろな書物に記されているのでここでは書かない。
夢分流の腹の見方は、鳩尾・両脾胃の腑に邪気があって、
痰火(たんか)が上って心を塞いでしまうために
胸の中が乾いて食が通りにくい。
たまたま食が通って胃の中に入っても、
胃火が盛んになっているので、やがてもどしてしまうため食を受け付けない。
これは燥痰火(そうたんか)が盛んになっているからである。

そのため、乾燥したものを絶対に食べてはいけない。
これは、治療するのは最も難しい。
肥満の人の膈飜胃(かくほんい)は十人中7~8人は治るが、
痩せている人は治しにくい。
治療方針は、鳩尾・両脾募・胃の腑の邪氣を退ける様にすればよい。便秘する。

「膈」とは、上焦(心・肺)と中焦(脾・胃)の間の境界で、
ここがつまると、中焦に食が入らなくなります。
これをここでは膈証と表しているのだと思います。
現代の病では、食道ガンや食道狭窄などが相当するともいわれています。
夢分流の、その治療方針や腹診による診方はとてもシンプルだなあと感じます。

続きます。


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鍼道秘訣集を読む その29 二十一.実実 & 二十二.虚虚
鍼道秘訣集を読む その30 二十三.知寒気事
鍼道秘訣集を読む その31 二十四.知腫気来事
鍼道秘訣集を読む その32 二十五.瘧観之大事


参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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