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前回、太陽病下篇の134条(大陥胸湯)の条文の中で、
湿熱が停滞し「発黄」するという内容があった。
(参考:前回の記事 【水曜勉強会】傷寒論 その77
この内容は陽明病篇236条にあり、
今回はその236条を行った。

(236条)
陽明病、発熱、汗出、此為熱越、不能発黄也。
但頭汗出、身無汗、劑頸而還、小便不利、渇引水漿者、
此為瘀熱在裏、身必発黄、茵蔯蒿湯主之。

条文の意味としては、以下のようになる。
陽明病において、発熱し、汗が出る場合には、「発黄」することはない。
頭からのみ汗が出て首から下はまったく汗をかかず、
小便が出ず、咽が渇いて水を多く飲む場合は、
瘀熱が裏にあり、必ず「発黄」する。この場合には茵蔯蒿湯を用いる。

発黄の「黄」は現代の黄疸といえる。
黄疸は、現代医学においては、
体内のビリルビンの循環に問題が起こっている場合に
あらわれるとされている。

ここで、ビリルビンの生成や循環について生理学の内容を復習する。
脾臓で赤血球がヘムとグロビンに破壊され、間接ビリルビンが生成される。
間接ビリルビンが肝臓でグルクロン酸抱合されて
水溶性の直接ビリルビンとなり、これが黄疸の、黄色い色のもととなる。
直接ビリルビンは、胆汁へ排泄されて、
腸管で腸内細菌によってウロビリノゲンになり便中へ排泄される。
また、尿として排泄されたり、また肝臓へ吸収されて胆汁に排泄されるという流れもある。
このビリルビンの循環が、肝臓や胆嚢などの問題によってうまくいかないことで
黄疸が発生する。

さて、この機序を、傷寒論ではどのように表しているのであろうか。
茵蔯蒿湯の方意を確認していくと、
発黄の機序は、中焦の熱邪が三焦の湿と結びついて蓄積し、
三焦の気機を阻滞するために熱や湿が外に排泄されず、
邪熱が裏で鬱蒸している状態である、とある。

・口渇:熱邪が津液を消耗し湿邪が津液の上昇をこばむため
・小便不利:三焦枢機が阻滞されて水道が通調しないため
・無汗:三焦が湿熱で阻まれて津液や熱の外達ができないため
→しかし、湿熱の燻蒸が激しいと、諸陽の会である頭部のみに汗が出る

茵蔯蒿湯は以下の三つの生薬からなる。
茵蔯:湿熱を清し、気機を宣透させて、黄疸を取り除く
梔子:三焦の湿熱を排泄する
大黄:大便を通利して中焦の瘀熱を下泄する

現代医学では、肝臓や胆嚢のあたりの、
ビリルビンの循環がうまくいかないということであり、
傷寒論における発黄の、
湿や熱の排泄がうまくいっていないという内容に通じる。


参加者:下野、新川、大原、盧

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