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12月6日(水) :告知!第6回、鍼灸学生の為の勉強会
こんにちは、大原です。
今回は、「腫気の来たるを知る事」です。
二十四.知二腫気来一事
諸病ニ腫氣ノ来ルヲ兼テ知事最モ相傳トス
此習ヲシラサレハ本道ニテモ針醫ニテモ下手
ノ名ヲアラワス依レ之病者ニ腫氣不レ来様ニ
前前ヨリシテ立ル物也扨此目付處ノ大事ハ
胃ノ腑也大病人ヲ受取針セバ胃ノ腑ヘ邪
氣ノ不レ寄様ニ針スル事最モ為レ習胃ノ腑ヘ
邪氣寄バ必ズ不二食進一病者一日一日ト草臥
扨ハ胃火亢リ乾ガユヘニ病體ヨリ食進過ル
是即腫氣ノ来相也随分ト胃ノ氣ノ邪氣ヲ
拂見ニ不レ退辞退シ不レ可二療治一也扨大病人
ヲ初テ觀ニ胃ノ腑ニ邪氣アラバ食進過ヌル
カ食後ニ眠来ルト可レ云又足ノ甲腰ノ廻ニ腫
氣アリテ腰冷カト問ベシ必ス左様ニ有物也
肥タル人ナラバ療治スベシ痩タル人ノ腫氣ハ
大事ナレバ必ス辞退シテ不レ可レ治也
如レ此両脾ノ募胃ノ腑左腎ト膀胱ノ腑ニ
邪気アルユヘニ小便モ通シ難シ
現代の読み方にしていきます。
諸病に腫氣の来たるを兼ねて知る事、最も相伝とす。
これ習いを知らざれば、本道にても針医にても下手の名をあらわす。
これに依って、病者に腫氣来たらずように、前前よりして立てるものなり。
しかも、これ目付所の大事は胃の腑なり。
大病人を受け取り針せば、胃の腑へ邪氣の寄らざるように針する事最も習いとなす。
胃の腑へ邪氣寄るば、必ず食進まずして病者一日一日と草臥るる。
もしくは胃火亢(たか)ぶり乾くがゆへに、病体より食進み過ぐる。これ即ち腫氣の来る相なり。
随分と胃の氣の邪氣を拂(はら)い見みるに、退ずんば、辞退し、療治すべからざるなり。
さて、大病人を初めて觀るに、
胃の腑に邪氣あらば食進み過ぎぬるか食後に眠り来たると云うべし。
又、足の甲、腰の廻に腫氣ありて腰冷ゆるかと問うべし。
必ず左様に有る物なり。
肥えたる人ならば療治すべし。
痩せたる人の腫氣は大事なれば、必ず辞退して治すべからざるなり。
意味を考えてみます。
あらゆる病に「腫気」が現れていることを診る方法は、
他の診察術と比較してみても、
最も直接師から教わるべき内容である。
この習いを知らなければ、内科医も鍼医も、
技術の劣っている医者であるとされてしまう。
腫気が病人に現れる事のないよう、
もしくは現れたとしてもすぐに取り去れるよう、
普段から治療で調えておくことが重要である。
この「腫気」を知るのに大事なのは胃の腑である。
大病人を治療するときに大事なのは、
胃の腑に邪気が集まらないようにすることである。
胃の腑に邪気が集まってくると食欲が減ってしまい、
日に日にくたびれていってしまう。
もしくは胃の腑に邪気が集まって胃火になった場合には、
食欲が大きく増えて食べ過ぎてしまう。
これらは腫気が集まってきている相であると考える。
胃の腑の邪気を、長く治療し時間をかけて取り去っても
腫気が退かない場合は、治療を辞退するべきである。
さて、大病人をはじめて診る場合に、
胃の腑に邪気がある場合には、
「食欲が多すぎて食べ過ぎてしまう」、
「食後に眠たくなる」と、病人から言うことがある。
また、足の甲や腰の周りに腫気があると、
腰が冷えるかどうかを尋ねるべきである。
必ず左の図のように邪があるものである。
体格が、肥えているような人は治療をすべきであるが、
痩せている場合は必ず辞退し、治療はすべきではない。
「痩せている人に治療をすべきではない」というのは、
治療がかなり難しいものだということなのだと思います。
この筆者がそのような病人を実際に診たときには、
おそらくですが、
難しいながらもどうにか治療を行うのではないのでしょうか。
続きます。
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鍼道秘訣集を読む その1 → 鍼道秘訣集序
鍼道秘訣集を読む その2 → 一.當流他流之異
鍼道秘訣集を読む その3 → 二.當流臓腑之辯
鍼道秘訣集を読む その4
鍼道秘訣集を読む その5
鍼道秘訣集を読む その6 → 三.心持之大事
鍼道秘訣集を読む その7 → 四.三清浄
鍼道秘訣集を読む その8
鍼道秘訣集を読む その9
鍼道秘訣集を読む その10
鍼道秘訣集を読む その11
鍼道秘訣集を読む その12
鍼道秘訣集を読む その13 → 五.四脉之大事
鍼道秘訣集を読む その14
鍼道秘訣集を読む その15 → 六.火曳之針
鍼道秘訣集を読む その16 → 七.勝纍之針
鍼道秘訣集を読む その17 → 八.負曳之針
鍼道秘訣集を読む その18 → 九.相曳之針
鍼道秘訣集を読む その19 → 十.止針
鍼道秘訣集を読む その20 → 十一.胃快ノ針
鍼道秘訣集を読む その21 → 十二.散針
鍼道秘訣集を読む その22 十三.鍼不抜抜事
鍼道秘訣集を読む その23 十四.鍼痛
鍼道秘訣集を読む その24 十五.知必死病者習
鍼道秘訣集を読む その25 十六.吐針
鍼道秘訣集を読む その26 十七.瀉針
鍼道秘訣集を読む その27 十八.車輪之法
鍼道秘訣集を読む その28 十九.実之虚 & 二十.虚之実
鍼道秘訣集を読む その29 二十一.実実 & 二十二.虚虚
鍼道秘訣集を読む その30 二十三.知寒気事
参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。