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下野です。
今回も「大医精誠第二」の記事になります。
※前回まではの記事はこちら。
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第一
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第二
【古医書】『備急千金要方』「大医精誠第二」:第三
【原文】
凡太医治病、必当安神定志、無欲無求、
先発大慈惻隠之心、誓愿普救含霊之苦。
若有疾厄来求救者、不得問其貴賎貧富、
長幼妍蚩、怨親善友、華夷愚智、
普同一等、皆如至親之想、
亦不得瞻前顧後、自慮吉凶、護惜身命。
見彼苦脳、若己有之、
深心凄愴、勿避嶮巇、
晝夜寒暑、飢渇疲労、
一心赴救、無作功夫形迹之心。
如此可為蒼生大医、反此則是含霊鉅賊。
<第五回に続く>
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【書き下し文】
凡そ医の病を治すや、
必ず当に神を安じ志を定め、欲する無く求むる無く、
先ず大慈惻隠の心を発し、誓願して普く舎霊の苦を救うべし。
若し疾厄ありて来たりて救いを求むる者有れば、
其の貴賎貧富、長幼妍蚩、怨親善友、華夷愚智
を問うを得ずして、普く一等を同じうし、
皆な至親の想いの如くして、
亦た前を瞻後ろを顧み、自ら吉凶を慮り、
身命を護惜するを得ず。
彼の苦悩を見るに、己が之を有るが若くし、
深心凄愴し、嶮巇を避くる勿く、
昼夜寒暑、飢渇疲労あるも
一心に救いに赴き、功夫形迹の心を作す無かれ。
此の如ければ蒼生の大医と為り、此れに反すれば則ち是れ舎霊の巨賊たり。
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ではこれまで同様に、
現代語にしてみようと思います。
「医者が病を治すのには、
必ず神志を安定させ、欲求を無くし、
非常に大いなる慈しみやあわれみいたむ心を発して
生ける者の苦を救うと誓いを立てるべきである。
もし、病にかかり救いを求める者がいれば、
貴賎貧富や年齢、美醜、憎き者、親しき者、
同族、異族、愚者、智者に関わらず、
皆同じ様に接し、親族のように思い、
後先に悩まず、己の吉凶を考えず、
自らの命を護り惜しむようになってはいけない。
その者(患者)の苦悩を見ることを、
己の苦悩であるようにし、深く心に悲しみいたみ、
危険を避けて通らず、昼夜寒暑は問わず、
自分に飢えや疲労があろうとも、
一心に救いに赴き、断る理由を考えてはならない。
これが出来るようならば万民の大医であり、
これに反するならば人の巨賊である。」
上記の様になります。
簡単にまとめると、
「己の欲を棄てて万人の治療に当たれ。
それが出来れば大医である。」
(簡単にまとめすぎましたが(^_^;)
と記しております。
次回につづきます。
<参考文献>
『備急千金要方』 中国医薬科技出版社
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『まんが中国医学の歴史』 医道の日本社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
下野