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受付の稲垣です。

一鍼堂の待合室にある書棚より、本日もご紹介させて頂きます。
『中国の思想[Ⅵ] 老子・列子』
訳は“老子”を奥平卓先生が、“列子”を大村益夫先生が担当されています。

東洋医学を学ぶにつれ
“医学”という学問を自分で勝手に制限を設けているのではないか・・
と感じることがあります。

立体的な考え方を必要としているように思うのですが、
そんな私の悩みに、教えを頂いている一冊でもあります。

老子
第一章  真理は固定したものではない

“道可道、非常道。名可名、非常名。
無名天地之始、有名万物之母。

 故常無欲以観其妙、常有欲以観其徼。
 此両者同出而異名。同謂之玄。玄之又玄、衆妙之門。”

“これこそ真の道(原理)であるといえる「道」は、
絶対不変の固定した道ではない。
これこそ真の名(ことば)であるといえる「名」は、
絶対不変の固定した名ではない。
「無」とは天地の始め、つまり物が現象する以前の状態を指すことばであり、
「有」とは万物の母、つまり万物が万物として現象する状態を指すことばである。
「無」はつねに現象(有)として現れようとし、
「有」はつねに現象以前の状態(無)に返ろうとする。
「無」と「有」とは、つまり同じものだが、
われわれの知覚に上る場合を異にすることによって、
違った名が与えられているのである。
「無」と「有」、この両者の対立と転化の動きを含んで、
止むことなく運行する根元的なもの、
そのもの自体は奥深くて測り知れないから、
「玄」としか形容することができない。
その根元的な玄なるものから、森羅万象が現れるのである。“

今までの常識が、
いつしか作られた固定概念で大事なものを見落としている事に気づかせてもらえます。

現代人の悩みに通じる教えを拝読するにつき、
太古の昔より通じる根源性に東洋医学の可能性を見ます。

固まった考えを解きほぐしてくれる面白い本だと思います。
書棚に手を伸ばす助けになれば幸いです。


参考文献:
『中国の思想[Ⅵ] 老子・列子』 徳間書店

稲垣英伸

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