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十八.車輪之法
諸病共ニ邪氣ヲ根根トシテ可レ立邪氣アラザル處ニ
不レ可レ立無レ過ヲ討伐スルガ如シ何様ノ煩ニテ
モ兩脾ノ募兩ノ肺先章門兩腎胃ノ腑ヲ見
分療治スベシ右云フ處ノ分何様ノ病ニテモ
此處ニテ療治スレハ車ノ兩輪ノ如ク療治早
廻トノ心ニテ車輪ノ法ト號スルモノ也
現代の読み方にしていきます。
諸病共に邪氣を根(もと)として立てるべし。
邪氣あらざる所に立てるべからず。
過(とが)無きを討伐するが如し。
何様の煩にても兩脾の募・兩の肺先・章門・両腎・胃の腑を見分けて療治すべし。
右に云う所の分、何様(なによう)の病にても此の所にて療治すれば、
車の兩輪の如く療治早く廻るとの心にて、車輪の法と號するものなり。
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意味を考えてみます。
邪気が無い所に鍼を立ててはならない。
それは過ちの無い人を責め立てるようなものである。
両方の脾募・肺先・章門(肝相火)・腎、また、胃の腑(胃土)に
邪が無いかをどのような症状のときも見分けて治療すべきである。
そのように治療を行えば車の両輪のように治療が早く進む。
その意味から、車輪の法と称しているのである。
この内容は、前回までの
吐鍼、瀉鍼の内容の
まとめのような内容のように感じます。
また、どのような病症に対しても
そこに邪があればそれを狙うということは、
患者さんが意識していない病症を取り除く、
すなわち現代でいう、
いわゆる未病を治すということにつながり、
非常に大事な考え方が記されています。
「車輪の法」という手技があるのではなく、
このような考え方で治療をあたることが大事であり、
治療が早く進むということが述べらているのですね。
続きます。
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鍼道秘訣集を読む その1 → 鍼道秘訣集序
鍼道秘訣集を読む その2 → 一.當流他流之異
鍼道秘訣集を読む その3 → 二.當流臓腑之辯
鍼道秘訣集を読む その4
鍼道秘訣集を読む その5
鍼道秘訣集を読む その6 → 三.心持之大事
鍼道秘訣集を読む その7 → 四.三清浄
鍼道秘訣集を読む その8
鍼道秘訣集を読む その9
鍼道秘訣集を読む その10
鍼道秘訣集を読む その11
鍼道秘訣集を読む その12
鍼道秘訣集を読む その13 → 五.四脉之大事
鍼道秘訣集を読む その14
鍼道秘訣集を読む その15 → 六.火曳之針
鍼道秘訣集を読む その16 → 七.勝纍之針
鍼道秘訣集を読む その17 → 八.負曳之針
鍼道秘訣集を読む その18 → 九.相曳之針
鍼道秘訣集を読む その19 → 十.止針
鍼道秘訣集を読む その20 → 十一.胃快ノ針
鍼道秘訣集を読む その21 → 十二.散針
鍼道秘訣集を読む その22 十三.鍼不抜抜事
鍼道秘訣集を読む その23 十四.鍼痛
鍼道秘訣集を読む その24 十五.知必死病者習
鍼道秘訣集を読む その25 十六.吐針
鍼道秘訣集を読む その26 十七.瀉針
参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。