こんにちは盧です。
だんだん秋の空気が出てきて
秋刀魚の美味しい季節となりました。
家で焼くと片付けなどでなかなか面倒なのですが
焼きたてのおいしさが忘れられずついつい
スーパーで買ってしまう今日この頃です。
名医列伝の本日は二回目
清代初期を代表する名医であり
素晴らしい人格者でもあった喩嘉言(ゆかげん)
の代表作『医門法律』をみていきましょう。
前回のおさらい
【名医列伝】喩嘉言
『医門法律』
は喩嘉言の晩年の著作で、
黄帝内経などから得た基礎理論とその心得、
彼の臨床家としての経験と蓄積が詰まった古典です。
『医門法律』の「法律」という部分は
喩嘉言が仏教徒であったことに由来します。
「法」は治療技術とその運用方法を文章にしたものであり
「律」は戒律の意味で治療者が臨床上犯しやすい過失を分析し、
禁止例をまとめたものであると言われます。
著書のなかには
医法260条、医律107条
が見られ、簡潔ながらも味わい深い内容となっております。
この本の評価は高く
『四庫全書提要』(当時の中国でまとめられた本についてのガイドブック)
においてつぎのように評価されています。
「率直にいえば、この本は、藪医者の被害を根絶するために作られたものと
思われる。はじめは些細な違いであるが後に大きな開きが出るような誤りを
明らかにして臨床に携わる者が軽率な判断を下さぬよう注意を促している。」
(身の引き締まるような内容です・・・)
それでは内容をすこし見てみてみましょう。
全六巻で構成されていますが内一巻が診察術について書かれております。
これは当時としては珍しかったようで、喩嘉言がいかに診察と診断を
大事にしていたのかが、ここからも分かります。
二巻〜六巻は外感病(いわゆる風邪や急性の病など)だけでなく
雑病(慢性病や原因がよく分からない病)についての記述も多く
喩嘉言が『傷寒論』だけでなく『金匱要略』についても
深く研究していたことがうかがわれます。
また彼は当時、補腎という治療方針が主流となる中で
『金匱要略』の九番目の篇(胸痺心痛短気病脈証治)
などからヒントを得て
胸中の陽気こそが人体にとって最も大事であると説きました。
あまり日本では知られることのない喩嘉言ですが
ここでは紹介しきれない名医エピソードを持っており、
個人的に名前が被っていることもあってか、
なぜか心惹かれる名医の一人です。
興味がある方は是非一度読んで見て下さい。
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参考文献
『医門法律』人民衛生出版
『中国伝統流派の系譜』東洋学術出版