こんにちは、大原です。
今回は「吐針(吐かする針)」です。
十六.吐針
穴ハ胃腑也針先ヲ上ヘナシテ深ク立捏ベシ一
本ニテ効無ハ二三本モ立ル扨ハ兩脾ノ募ニ
邪氣有ハ可レ立吐スルニ胃ノ腑ニ針スル法トハ
イヘドモ食氣胃ノ腑ニ無シテ下焦ニアラハ瀉
針ニテ食氣ヲ下シテヨシ扨又傷寒等ニモ依
レ症吐スル事アリ是トテモ邪氣胃ノ腑ニ無
時ハ不レ立
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現代の読み方にしてみます。
穴は胃の腑なり。針先を上へなして深く立て捏(ひね)るべし。
一本にて効(しるし)無くは二三本も立てる。
もしくは両脾の募に邪氣有らば立てるべし。
吐かするに胃の腑に針する法とはいへども、
食氣胃の腑に無くして下焦にあらば、
瀉(くだ)す針にて食氣を下してよし。
あるいは又、傷寒等にも症に依って吐かする事あり。
これとても邪氣、胃の腑に無き時は立てず。
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意味を考えてみます。
針をするのは胃の腑に対してであり、
針先を上へ向けて深く立てひねるのである。
針の数が一本で効果が無ければ、二、三本と、追加して行う。
または、両方の脾募に邪氣が有ればそこに針を立てる。
吐かすために胃の腑に対して針をする法とはいっても、
食氣が胃の腑に無く下焦にあるのであれば、
吐かすのではなく瀉(くだ)す針を用いて
食氣を下してやるのが良い。
あるいは又、傷寒の病はその証にしたがって吐かせることもある。
胃の腑に邪気が無い時は、この吐かせる針は行わない。
文中にある「瀉(くだ)す針」は
この次の内容になります。
続きます。
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鍼道秘訣集を読む その1 → 鍼道秘訣集序
鍼道秘訣集を読む その2 → 一.當流他流之異
鍼道秘訣集を読む その3 → 二.當流臓腑之辯
鍼道秘訣集を読む その4
鍼道秘訣集を読む その5
鍼道秘訣集を読む その6 → 三.心持之大事
鍼道秘訣集を読む その7 → 四.三清浄
鍼道秘訣集を読む その8
鍼道秘訣集を読む その9
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鍼道秘訣集を読む その16 → 七.勝纍之針
鍼道秘訣集を読む その17 → 八.負曳之針
鍼道秘訣集を読む その18 → 九.相曳之針
鍼道秘訣集を読む その19 → 十.止針
鍼道秘訣集を読む その20 → 十一.胃快ノ針
鍼道秘訣集を読む その21 → 十二.散針
鍼道秘訣集を読む その22 十三.鍼不抜抜事
鍼道秘訣集を読む その23 十四.鍼痛
鍼道秘訣集を読む その24 十五.知必死病者習
参考文献:
『鍼道秘訣集』(京都大学附属図書館所蔵)より
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003559
(掲載画像は該当部分を抜粋)
『弁釈鍼道秘訣集』 緑書房
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是非参考文献を読んでみて下さい。