「病を早く治せんとしていそげば、
かへつてあやまりて病をます。
保養はおこたりなくつとめて、
いゆる事をいそがず、
其自然にまかすべし。
萬の事あまりよくせんとすれば、
返つてあしくなる。」
貝原 益軒『養生訓』より
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下野です。
本日は久しぶりの『養生訓』になります。
では冒頭文を現代語訳してみましょう。
「病気を早く治そうと急げば、
反って悪化させてしまうこともある。
保養は怠りなく努んで、治すことを焦らず、
自然にまかせるのも大切である。
どんなことも、
よくしようとし過ぎれば、
悪くなることもあるのである。」
といったところでしょうか。
「早く良くなりたい」「治りたい」と
考えるのは病気を患ったら誰もが思う事であり、
またこの文章は患者さん(としておきましょう)だけでなく、
治療者にとっても大切な心構えとなります。
患者さんは
治すために良いと言われることを色々やるでしょうが、
何事も”やり過ぎる”と体を消耗しすぎたり、
”良い”と思っていたことが
その方にとって悪さをすることも多くあります。
(現代でいえば、水○ℓ飲みなさいや冷え対策の温熱療法etc.)
反対に治療者は
調子が良くなってきてるから
思いきって治療方法を変えてみたり、
(勿論、それが正解のときもあります。)
もう一押し良くしたいから治療を加えてみたり
としたときに悪化してしまう恐れもあります。
自分の考えるように治療が当てはまっていれば、
予後を想定できるので、このような事を減らすことは出来るはずです。
貝原益軒先生は、
養生のことから患者さん向けに書いた事でしょうが、
僕としては治療者にとっても
重要な心得として受け止めます。
下野
<参考文献>
『養生訓』 貝原守一博士校訂本
『口語 養生訓』 日本評論社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
下野