この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。
9/6(水)
太陽病中篇より
「驚」とは心陽が虚することについておこると
これまでの条文にあった。
本条は、110条からの、火による誤治についての記述を
まとめたものである。
一説には110条の前に本条を置いても良いのでは、とする見方もある。
(120条)
太陽病、当悪寒発熱、
今自汗出、不悪寒発熱、関上脉細数者、以医吐之所到也。
一二日吐之者、腹中饑、口不能食。
三四日吐之者、不喜糜粥、欲食冷食、朝食暮吐、
以医吐之所致也、此為小逆。
太陽病は悪寒・発熱するものであるが、
自汗して悪寒・発熱せずに関上の脈が細数の場合には、
医者が太陽病に対して吐法を用いたことによる。
1、2日、これを吐かせた場合には
腹中は飢え腹は減っている感じはするが、
口に食物を入れたくない。
3、4日、吐かせた場合には
お粥を食することはあまり進まないが、
冷たい食べ物を食べたく感じるが、
朝食べて夕方には吐いてしまう。
これらは医者が吐法を用いたことにより、この症状を小逆という、
という内容である。
太陽病を、医者が陽明腑実証と誤診して吐法を用いたと思われる。
本条文の内容は吐法を用いたことによる変証についてであり、
この後も続く。
あらゆる解説本には、吐法を用いたことによって
1、2日目には胃気を損傷し、
3、4日目には病がやや深く進んで脾気を損傷かつ、
胃の陰気を損傷しているとある。
1、2日に食べ物を食べたくないのは
胃気が働かないためであろう。
3、4日目に冷たい物を食べたくなるのは
胃陰の損傷によって胃に燥があるためで、
それでも食を欲するのは胃熱によるものと思われる。
しかし夕方に吐いてしまうのは、脾気も損傷しているため
胃で受納された飲食物が水穀の精になり得ず
胃で停滞して結果吐いてしまうということだろう。
食物を摂りつつも、
胃の降気作用が損傷して吐いてしまっているため
「小逆」と表現していると思う。
(続く)
参加者:下野、新川、大原、盧