買うか・買わないか迷いました。
買うか・買わないか迷いました。

下野です。
今回で『諸病の主薬』は終わりになります。
では参りましょう。


【原文】
蛇咬傷、須用白芷、為主。
中諸毒、須用香油、濯之、為主。
中砒毒、豆豉、蚯蚓、為主。
諸骨哽喉、須用狗涎、頻服、為主。

<形体を釈すに続く>


【解説】
蛇の噛み傷には、白芷を使用すべし。

諸毒に中った際は、香油でもって濯ぐべし。

ヒ素に中った際は、豆豉、蚯蚓を使用すべし。

骨が喉に刺さった場合には、犬の唾液を頻繁に服させるべし。

———————————————————————————
白芷びゃくし

セリ科のヨロイグサなどの根。
性味:辛・温
帰経:胃・大腸・肺
効能
①散寒解表
・風寒による感冒で、額の痛みを伴う時に。
方剤例 → 九味羗活湯

②祛風止痛
・風寒による頭痛に。
方剤例 → 川芎茶調散・清上蠲痛湯。
・風熱による頭痛。
方剤例 → 清上防風湯。
・副鼻腔炎による額の痛み。
方剤例 → 蒼耳散。

③消腫排膿
・皮膚化膿症に用いる。
方剤例 → 仙方活命飲。

香油こうゆ

ゴマの成熟した種子。
香油は別名で、
胡麻仁と記載されている事が多い。
性味:甘・平
帰経:脾・肺・肝・腎
効能
①滋養肝腎・補益精血
・肝腎不足の早期の白髪やふらつき、目のかすみ、耳鳴り等に。
方剤例 → 桑麻丸。

②潤燥滑腸
・腸燥の便秘に。

宋代の『易簡方』に
”治百薬、百蟲、五金八石、砒霜、山嵐瘴蠱、及河豚諸毒。
生胡麻油一碗、灌之、吐出毒物。”
といった記載がある。

豆豉とうし

マメ科大豆の成熟種子を蒸してから
発酵加工したもの。
性味:辛・甘・微苦・凉・微温
帰経:肺・胃
効能:
①疏散解表
・外感風寒の発熱や悪寒、無汗などの症状に。
方剤例 → 葱豉湯。
・外感風寒の発熱や微悪風寒、咽痛などに。
方剤例 → 葱豉桔梗湯。

②宣鬱除煩
・熱病後の胸中に熱が残り、
胸が苦しいや気分が悪い、不眠などに。
方剤例 → 梔子豉湯。

蚯蚓きゅういん

フトミミズ科の内容物を去り、
乾燥させたものや、ツリミミズ科をそのまま乾燥したもの。
性味:鹹・寒
帰経:肝・腎・肺
効能:
①清熱熄風・定驚
・高熱の煩躁や痙攣に。
方剤例 → 地竜解痙湯。

②清肺平喘
・肺熱の咳嗽や呼吸切迫、呼吸困難等に。

③行経通絡
・風寒湿痺の関節痛に。
方剤例 → 小活絡丹。
・風湿熱痺の関節痛や腫れ、熱感に。
方剤例 → 桑絡湯。
・中風の半身不随に。
方剤例 → 補陽還五湯。

④利水通淋
・熱結膀胱の尿閉や排尿困難、排尿時痛に。

狗涎くせん

犬の唾液であり、
『本草綱目』には諸骨哽や脱肛に効果があると記載されている。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『鍼灸医学事典』 医道の日本社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here