こんにちは、為沢です。
先日、中国山東省済南市にて
地元住人に無料診療をしていた
医師・山崎宏氏が102歳でお亡くなりになったと
報道されておりました。
(詳細はこちらです↓
山東省で贖罪続けた「元脱走兵」医師、山崎宏氏が102歳で死去
恥ずかしながら報道を見るまで
山崎氏のことを存知あげなかったのですが、
亡くなる前日までベッドに横になりながらも
患者さんを診ていたと知り、生涯医師を貫いた
彼の姿勢に感銘を受けると同時に、
果たして自分は床に伏せてまで人を診れるだろうか…と
感慨深いものを感じました。
まだまだ今の自分の器では計り知れません…。
山崎宏氏の御冥福を心より御祈り致します。


今回は望診No.3 頭・髪・目を御紹介致します。



頭の形状、動きを診ます。
小児の場合、頭の形が大きいか小さ過ぎているもので
知能障害を伴うものは腎精が不足している場合が多く、
大泉門が陥没しているものは虚証が多い。
大泉門とは額の正中線を頭頂部に向かっていき、
髪の生え際より少し上の菱形をした
柔らかくプヨプヨした部分で
生後9~10ヵ月頃までの赤ちゃんによく触れます。
腎気が調ってくる1歳半~2歳頃までには自然に閉じていくため
体表から触知できなくなるのが普通であります。
この大泉門の閉鎖が遅く、頭や頚が安定しない場合は
腎気不足による発育不全であることが多く、
逆に高く突き出しているものは熱証が多い。
老若問わず、頭部がひとりでに揺れているものは
全て風証と考えられます。

髪質と色の変化を診ます。
髪は血によって栄養されているので
「髪は血の余たり」と言われ
腎が蔵する精が血に化して、精血が旺盛になることにより
毛髪が豊富で潤沢になるため「腎の華は髪にあり」とも言われます。
従って、髪が薄く抜け易いものや髪質が乾いているものは
精血不足によるものが多く、老年以後の脱毛は、
加齢により精血が衰微しやすくなるためであります。
若年で髪が抜ける場合は血熱によるものが多いです。
部分的な脱毛だと、頭頂部は厥陰経、前頭部は陽明経、
側頭部は少陽経、後頭部は太陽経から由来してきます。

目は肝の竅といわれ、目と肝との関連は密接ですが
『五行解説』肝ー春を参照)
五臓六腑の精気はすべて目に注いでいます。
このため、目に現れる病的な変化は肝のみにではなく
他の臓腑の病変をも反映しております。
目の望診では、眼光を観察し神の有無を診て
形や色、動きの変化も注意して診なければなりません。
まぶたが赤く腫れているものは
肝経風熱からくることが多く
目の下の腫れぼったいクマは水腫であり
眼窩が落ち込むものは津液の損耗が多い。
目眦(もくし・目尻のこと)の発赤、びらんは湿熱が多く
瞳孔が散大しているものは腎精耗竭、
瞳孔が縮小したものは肝胆火熾・肝腎損傷・中毒に多く診られます。
肝鬱気滞がきついものは、白目が青くなっているものが多く
目の動きがキョロキョロ落ち着きがないものは
肝風によるものが多いです。
専門的な記事になりました。
できるだけ分かり易く解説したいのですが
専門用語の解説の解説の解説…というような
長ったらしい文章になりかねないです。。
なかなか難しいものがありますが
どうぞ御付き合い下さい。
次回は、耳・鼻・唇について解説致します。


参考文献:
『中医診断学ノート』
『中医学の基礎』  東洋学術出版社
『基礎中医学』  神戸中医学研究会
  為沢

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