臨床で竜胆瀉肝湯を勉強する必要があったので、
これを機に、
当院の新川くんに学んだことをまとめてもらいました。


竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう) 《医法集解》
〔組成〕 竜胆草6g 黄岑9g 山梔子9g 沢瀉12g 木通9g 車前子9g
     当帰3g 生地黄9g 柴胡6g 生甘草6g
〔用法〕 水煎服、丸剤にして1日2回6~9gずつ服用してもよい。
〔効能〕 清瀉肝胆実火・清泄下焦湿熱
〔主冶〕 
(1) 肝胆実火
いらいら・怒りっぽい・激しい持続性の頭痛・めまい感・目の充血・眼痛・耳鳴
耳痛・突発性難聴・口が苦い・胸脇痛
舌の尖辺が紅・舌苔が黄・脈が弦数で有力など。  
(2) 下焦湿熱
排尿痛・排尿困難・尿の混濁・残尿感・陰部の瘙痒・腫脹・発汗、悪臭のある黄色帯下、インポテンツなど。
舌苔は黄膩・脈は滑


〔病機〕 どのような機序により起こるのか、以下の二つの病因が挙げられる。
肝胆実火の上擾    
暴怒・五志過極・肝鬱化火などにより肝胆実火が生じる。
(症状)
○ はげしい持続性の頭痛・目の充血・眼痛・めまい感・耳鳴・耳痛
→(実火が肝胆の経脈に沿って上擾するため)
○ いらいら・怒りっぽい・難聴・口が苦い
→(肝胆の疏泄が失調するため)
○ 胸脇に波及すると胸脇痛。
舌尖辺が紅・舌苔が黄・脈が弦数有力は、肝胆実火をあらわす。
② 肝経湿熱の下注
肝胆湿熱が経脈を通じて下注する。
(症状)
○陰部の瘙痒・腫脹・発汗や悪臭のある黄色帯下
→(肝経は陰器(外生殖器)をまとうため)
○ 筋痿(インポテンツ)
→(宗筋が熱によって弛緩するため)
○排尿痛・排尿困難・尿の混濁・残尿感
→(湿熱が膀胱に下注するため)
舌・脈は湿熱をあらわす。


〔方意〕 本方は肝胆の実火を瀉し湿熱を清利する効能をもつ。
 大苦大寒の竜胆草が主薬で、上は肝胆実火を清瀉し下は湿熱を清泄する。
苦寒の黄芩(オウゴン)・山梔子(サンシシ)は瀉火・清熱するとともに三焦を通利して、竜胆草を補助する。
清熱利湿の沢瀉(タクシャ)・木通(モクツウ)・車前子(シャゼンシ)は湿熱を小便として排除し、また上部の火熱を下泄する。
柴胡(サイコ)は諸薬を肝胆経に引導し、肝気を疎通して化火を防止する。生甘草(ショウカンゾウ)は清熱と調和諸薬に働く。
なお、肝経の火熱は陰血を消耗しやすく、苦寒燥湿薬も傷陰しやすいので、滋陰養血の生地黄(ショウジオウ)・当帰(トウキ)を配合して、陰血に損傷が及ばないように防止している。
全体で「瀉中有補、利中有滋」の配合になっており、上部の火熱を清瀉すると同時に、下部の湿熱を清泄することができる。
*本方は苦寒の薬物が多く脾胃を損傷しやすいので、効果があればすぐに中止し、多量の服用や長期の服用は避けるべきである。脾胃虚寒には禁忌である

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