こんにちは、為沢です。
皆さん「宇宙エレベーター」というものを御存知ですか?
その名の通り、
地上と宇宙を繋ぐエレベーターのことです。
まるでSFのような話ですが、
現存の建築技術で建設可能な代物のようで
国際的にも真剣に建設を協議されているみたいです。
(日本にも「宇宙エレベーター協会」 なる組織が存在しております。)
近い将来、宇宙エレベーターが建設されたら
国際宇宙ステーションへの物資の供給が安価で済む(らしい)ので、
宇宙開発が飛躍的に進歩し、月面基地計画や火星移住計画なども
グッと近づくことになるでしょう。
凄い計画があるもんですねぇ。
はい。では、今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(上)三十章。
三十章は二十九章の注解で、問答形式で展開しております。
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弁太陽病脈証并治(上)
三十章
問曰、證象陽旦、按法治之而増劇、厥逆、咽中乾、兩脛拘急而譫語。
師曰、言夜半手足當溫、兩脚當伸。後如師言、何以知此。
答曰、寸口脉浮而大、浮爲風、大爲虚。風則生微熱、虚則兩脛攣。
病形象桂枝、因加附子參其間、増桂令汗出、附子溫経、亡陽故也。
厥逆、咽中乾、煩躁、陽明内結、譫語煩亂、更飮甘草乾薑湯、
夜半陽氣還、兩足當熱、脛尚微拘急、重与芍藥甘草湯、爾乃脛伸。
以承氣湯微溏、則止其譫語。故知病可愈。
和訓:
問いて曰く、証陽旦を象り、法を按じて之を治するに
増劇、厥逆し、咽中乾き、両脛拘急し譫語す。
師曰く、夜半に手足当に温なるべし、両脚当に伸ぶべしと言えと。
後に師の言の如し。何を以て此れを知るかと。
答えて曰く、寸口の脉浮にして大、浮は風と爲し、大は虚と爲し、
風は則ち微熱を生じ、虚すれば則ち両脛攣る。
病形桂枝を象り、因りて附子を加え其の間に参え、
桂を増し汗をして出ださしめ、附子は経を温め、陽は亡ぼすが故なり。
厥逆し、咽中乾き、煩躁す。陽明内に結ぼれ、譫語煩乱す。
更に甘草乾薑湯を飲み、夜半に陽気還り、両足当に熱すべし。
脛尚微かに拘急するは、重ねて芍藥甘草湯を与え、爾れば乃ち脛伸ぶ。
承気湯を以て微かに溏すれば、則ち其の譫語を止む。故に病愈ゆべしと知ると。
・證象陽旦
桂枝湯は別名:陽旦湯というため、桂枝湯証のことである。
訳:
問い。患者の証状が桂枝湯証に極めて似ており、
法則にもとづいて治療したのにかえって病情ひどくなり
手足は逆冷し、咽喉が乾燥し、
両下肢はひきつれそして譫語を発するようになった。
先生はかつて、夜半になれば手足は温かくなり、
両下肢も自在に伸ばせるようになると断言せよと言われました。
果たしてその通りになりましたが、
先生は何を根拠にこのように言われたのでしょうか。
答え。寸口の脈が浮で大の場合、
脈浮は中風を、脈大は内虚をそれぞれ表しており、
中風であるがゆえに微熱が出て、
内虚があるゆえに両下肢がひきつれるのだ。
このような病症は桂枝湯証に似ているが、
本来は桂枝湯に附子を加えて温経扶陽すべきなのだが、
誤って桂枝湯を用いて患者を発汗させると、
その結果、亡陽がおこって手足は逆冷し、咽喉が乾燥し、
そして煩燥して不安となる。
そして陽明の部位に燥熱が内結すると、譫語がみられるようになる。
それで先ず甘草乾薑湯で治療すれば、
夜半の頃には陽気が回復し、両下肢は自然に温かくなる。
しかし両下肢はまだ少しひきつれるので、
さらに芍藥甘草湯で治療すると、
両下肢はようやく自由に伸ばせるようになる。
承気湯でやや溏便になるくらいに軽く下してやれば、譫語は止む。
以上のことを根拠に病は治癒可能であるとわかるのだ。
太陽病の上篇は本章で終わりです。
次回より、太陽病の中篇の解説をして参ります。
参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』 績文堂
『薬膳 素材辞典』 源草社
『中医臨床家のための方剤学』
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
為沢