沈脈
脈を按じて深部にはじめてその拍動を触れるものです。
古典にはちょうど水に投げ入れた石をまさぐるように必ず水底まで手を入れることによって、はじめて触れると表現されています。
この脈が現れるのは
裏証
とされています。
病の原因が虚にしろ実にしろ表裏の裏、つまり深部にありますよということです。
ポイントは、寸関尺をきちんと取れていること。
外れていれば元も子もありません。
また、しっかり虚実をみることです。
按じて固く強いものは実、どこか空虚なものは虚です。
具体的には、
水飲停留などの陰病で見られる。
脈が、沈数なら内熱 沈遅なら内に寒あり 沈滑なら痰飲
沈で無力なら陽虚気陥 沈で有力なら積滞か寒邪凝滞
また、沈脈は
裏証、寒証、積聚の3つ
で現れることが多いと李時珍(号、瀕湖、1518~1593年、湖北の歴史的名医)は言っておられます。
私見としては、邪が集まって裏で動かないものもそうですが、
陽気の鬱滞との関与が強く、
裏で陽気が結してのびないものもよく沈を呈するように感じています。
無形の気の停滞といって馬鹿には出来ません。
停滞がきつくなるとガッチリ裏位で固まりきってしまい厄介です。