足陽明胃経    


   
胃経流注写真
20070404005859.jpg

 <承泣~頭維>
20070404084844.jpg

 <地倉~乳中>
20070405171324.jpg

 <乳中~外陵>
20070405171415.jpg

 <天枢~足三里>
20070406085129.jpg

 <犢鼻~兌>
   クリックで拡大いただけます。
  (別ウィンドウで開きますが、全画面で表示して下さい。
   収縮することによる文字の荒れが確認されています。)


経穴学 
○承泣 
取穴部位
瞳孔の下7分、目窩下縁の中央、正視させて取る。
由来
「承」とは受けることをいい、「泣」とは涙を流すことである。
本穴は、目の下にあるため、承泣と名付けられた。
○四白
取穴部位
瞳孔の下1寸、眼窩下孔部、正視させて取る。
由来
「四」とは広々とした意味で、「白」は明るいということである。
本穴は、目の下にあり、ここへ刺針すると視力が回復し、
四方八方が明るく見えるようになることから、四白と名付けられた。
○巨髎
取穴部位
鼻孔の外8分、瞳孔線上に取る。
由来
「巨」は大きい、「髎」は陥凹ということである。
本穴は、頬骨の下にあり、陥凹が大きいことから、巨髎と名付けられた。
○地倉
取穴部位
口角の外4分に取る。
由来
下部を「地」といい、穀物を貯蔵する器を「倉」という。
本穴は口の傍らで、外側の下部にあり、口がよく食物を納めることができ、
胃に入れることから地倉と名付けられた。
○大迎
取穴部位
下顎角の前1寸3分の陥凹部、動脈拍動部に取る。
由来
「迎」には血気旺盛という意味がある。
本穴の部位を動脈が通過することから、大迎と名付けられた。
○頰車
取穴部位
耳垂下端と下顎角の間の陥凹部に取る。
由来
顔面の両側を「頰」といい、下顎骨を古人は「頬車」骨といっていた。
本穴はその部位にあるため、頬車と名付けられた。
○下関
取穴部位
頬骨弓中央の下際陥凹部に取る。
由来
「関」は機関を意味し、本穴がちょうど下顎骨のある関節の部位に
あることから、下関と名付けられた。
○頭維
取穴部位
額角髪際にあり、神庭穴の外4寸5分に取る。
由来
額髪と鬢髪をつなぐ(維)ところで、本穴は額角の髪際にあるため、
頭維と名付けられた。
○人迎
取穴部位
喉頭隆起の外方1寸5分、動脈拍動部に取る。
由来
「迎」とは動くということ。本穴が喉頭隆起の傍らにあり、
動脈拍動部にあることを示している。「人」とは三部九候中の
人候にあたり、このため人迎と名づけられた。
○水突
取穴部位
人迎穴と気舎穴の中央に取る。
由来
「水」とは水穀、飲食のことであり、「突」とは接触、
ぶつかることである。本穴が水でむせたり、咳喘が上気するのを
治療できることから、水突と名付けられた。
○気舎
取穴部位
小鎖骨上窩中央に取る。
由来
「気」とは空中の大気のことであり、
「舎」は居るという意味である。
本穴は気管の近くにあり、呼吸の気がここを流れることから、
気舎と名付けられた。
○缺盆
取穴部位
大鎖骨上窩にあり、鎖骨上際陥凹部、乳頭線上に取る。
由来
不完全なことを「缺」といい、陥凹部を「盆」という。
本穴は鎖骨上窩の陥凹にあり、ちょうど不完全な盆のようなこと
にあることから、缺盆と名付けられた。
○気戸
取穴部位
鎖骨下際にあり、前正中線の外4寸、乳頭線上に取る。
由来
気戸とは気の門戸という意味である。
その下方に肺がある。そのため気戸と名付けられた。
○庫房
取穴部位
第2肋骨上際にあり、乳頭線上に取る。
由来
「庫」とは、物を蓄えることである。
この内部には津血がり、これが乳汁に変化する。
また乳房に近いことから、庫房と名付けられた。
○屋翳
取穴部位
第2肋間にあり、乳頭線上に取る。
由来
乳房の隆起はちょうど「屋」のようであり、「翳」とは
鳩尾の大きな扇子のことである。本穴は胸の上部にあり、
乳房の垣根、屋根のようであることから、屋翳と名付けられた。
○膺窓
取穴部位
第3肋間にあり、乳頭線上に取る。
由来
「膺」は胸を指し、「窓」は孔竅のことである。
本穴は乳上部にあるため、膺窓と名付けられた。
○乳中
取穴部位
乳頭の中央で第4肋間に取る。
由来
乳頭の正中の部位にあるため、乳中と名付けられた。
○乳根
取穴部位
第5肋間にあり、乳頭線上に取る。
由来
乳房の根部にあるため、乳根と名付けられた。
○不容
取穴部位
天枢穴の上6寸、巨闕穴の外2寸に取る。
由来
「容」は受納のことである。
腹満し水穀を受納できないものを本穴が主治することから、
不容と名付けられた。
○承満
取穴部位
天枢穴の上5寸、上脘穴の外2寸に取る。
由来
「承」は受納のことで、「満」は満腹という意味である。
本穴は胃に作用することから、承満と名付けられた。
○梁門
取穴部位
天枢穴の上4寸、中脘穴の外2寸に取る。
由来
心の積を伏梁という。
臍上、心下の部位にある横梁のような積聚を指している。
本穴は消積化滞の作用があることから、梁門と名付けられた。
○関門
取穴部位
天枢穴の上3寸、建里穴の外2寸に取る。
由来
本穴は泄瀉(下痢)、遺溺など、門戸が閉じない病症を治療する
ことから、関門と名付けられた。
○太乙
取穴部位
天枢穴の上2寸、下脘穴の外2寸に取る。
由来
星の名前である。またの名を「太一」ともいう。
もともとは、原始最初ということで、太乙と名付けられた。
○滑肉門
取穴部位
天枢穴の上1寸、水分穴の外2寸に取る。
由来
「滑」は滑らか、「肉」は肌肉の意味である。
脾は肉を生じ、足陽明は肉を主る。
本穴は胃経に属し、脾胃の病症を主り、脾胃の門を通利することから、
滑肉門と名付けられた。
○天枢(大腸経の募穴)
取穴部位
臍の外2寸に取る。
由来
星の名前であり、北斗七星の1番目の星を指す。
「枢」は枢軸のことである。
本穴は臍の傍らにあり、上腹と下腹の境になるところである。
臍のの上は天に対応し、臍の下は地に対応している。
そのため本穴は天枢と名付けられた。
○外陵
取穴部位
天枢穴の下1寸、陰交穴の外2寸に取る。
由来
「外」は外側を指し、「陵」は突起したところを指している。
本穴は腹の外側で、腹直筋の上にあるため外陵と名付けられた。
○大巨
取穴部位
天枢穴の下2寸、石門穴の外2に取る。
由来
「大」、「巨」は高く隆起した状態を指している。
本穴は腹部で最も大きく、高く隆起したところにあるため、
大巨と名付けられた。
○水道
取穴部位
天枢穴の下3寸、関元穴の外2寸に取る。
由来
「水」は水液、「道」は道路を指している。
本穴は通利水道の作用があることから水道と命名された。
○帰来
取穴部位
天枢穴の下4寸、中極穴の外2寸に取る。
由来
「帰」はかえる、「来」はもどることを指している。
本穴は疝気を治療できることから、帰来と名付けられた。
○気衝
取穴部位
天枢穴の下5寸、曲骨穴の外2寸に取る。
由来
本穴は気街にあり、衝脈が起こるところであり、
同時に経気の衝動を触れるところでもある。
そのため気衝と名付けられた。
○髀関
取穴部位
上前腸骨棘の下方、縫工筋と大腿筋膜張筋の間、陥凹部に取る。
由来
大腿骨は「髀」といわれ、動くところを「関」という。
本穴が大腿骨の上端で、股関節の部位にあることから、
髀関と名付けられた。
○伏兎
取穴部位
大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい
上6寸に取る。
由来
「伏」は横たわることである。
この部位は大腿四頭筋が隆起し、その形が兎が伏せている
ようなので、伏兎と名付けられた。
○陰市
取穴部位
大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい
上3寸に取る。
由来
「市」とは陰部を隠す短い衣服を指していた。
本穴はその下縁にあたるところにあることから、
陰市と名付けられた。
○梁丘(郄穴)
取穴部位
大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい
上2寸に取る。
由来
高く隆起しているところを「丘」という。
本穴は膝の上にあり、ちょうど山梁の上にあるようなので、
梁丘と名付けられた。
○犢鼻
取穴部位
膝蓋骨下縁と脛骨上端との中間で膝蓋靱帯中に取る。
由来
膝蓋靱帯の両傍の陥凹で、牛の鼻孔のようすに似ていることから、
犢鼻と名付けられた。
○足三里(合土穴)〈四総穴の一つ〉
取穴部位
膝をたて、外膝眼穴の下3寸に取る。
由来
「里」は邑、居および集会通達の意味を指す。
「三」は膝下3寸を指し、手の三里と区別するために
「足」をつけている。
○上巨虚
取穴部位
膝をたて、足三里穴から解谿穴に向かい下3寸に取る。
由来
脛骨、腓骨の間に大きな間隙があり、これを「巨虚」という。
下巨虚と相対しているため、「上」の字がついている。
○条口
取穴部位
足三里穴から解谿穴に向かい下5寸に取る。
由来
取穴するときに、本穴の部位に1本(条)の口に似た陥凹ができることから、条口と名付けられた。
○下巨虚
取穴部位
足三里穴から解谿穴に向かい下6寸に取る。
由来
上巨虚の下にあることから、下巨虚と命名されている。
○豊隆(絡穴)
取穴部位
外果の上8寸、条口穴の外方に一筋へだてた陥凹部に取る。
由来
「豊」は大きい、「隆」は盛んという意味である。
本穴のある部位の筋肉が豊満で盛りあがっているところから、豊隆と命名されている。
○解谿(経火穴)
取穴部位
足関節前面中央、前脛骨筋腱の外側陥凹部に取る。
由来
骨・関節のつながるところを「骨介」(「骨」と「介」という字ではありません。)
といい、これは「解」に通じる。筋腱の陥凹部は、「谿」に似ている。
このため解谿と名付けられた。
○衝陽(原穴)
取穴部位
足背にあり、第2・3中足骨底間の前、陥凹部に取る。
由来
「衝」は動く、「陽」は高いに通じる。
本穴は足背の最高点にあり、動脈が拍動しているところから、衝陽と名付けられた。
○陥谷(兪木穴)
取穴部位
足背にあり、第2中足指節関節の後、外側陥凹部に取る。
由来
本穴の部位に谷のような陥凹があることから、陥谷と名付けられた。
○内庭(滎水穴)
取穴部位
足背にあり、第2中足指節関節の前、外側陥凹部に取る。
由来
「内」は納めるの意で、「庭」はお堂の前の空き地を指す。
本穴は指のしわのところにあり、指のしわは門のようであり、その場所は
平坦でちょうど空き地のようになっているため、内庭と名付けられた。
○兌(井金穴)
取穴部位
足の第2指外側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る。
由来
「」は錬磨することを指し、また登る、河を渉るという意味もある。
「兌」は先端を指す。本穴は足の指の先端にあるため、
兌と名付けられた。
参考文献:『針灸学[経穴篇]』東洋学術出版社


古典記載
『黄帝内経霊枢経脈篇』
経脈流注
胃足陽明之脈.起於鼻之交頞中.旁納太陽乃脈.下循鼻外.
入上齒中.還出挾口環脣.下交承漿.却循頤後下廉.出大迎.
循頰車.過客主人.循髪際.至額顱.
其支者.從大迎前下人迎.循喉嚨.入缺盆.下膈屬胃絡脾.
其支者.從缺盆下乳内廉.下挾臍.入氣街中.
其支者.起于胃口.下循腹裏.下至氣街中而合.以下髀關.抵伏兔.
膝下臏中.下循脛外廉.下足跗.入中指内.
其支者.下廉三寸而別.下入中指.
其支者.別跗上.入大指出其是端.

経別流注
足陽明之正.上至于髀.入于腹裏.屬胃.散之脾.上通于心.
上循咽出于口.上頞.還繋目系.合于陽明也.

十五絡流注
足陽明之別.名曰豐隆.去踝八寸.別走太陰.
其別者.循脛骨外廉.上絡頭項.合諸經之氣.下絡喉嗌.

経筋流注
足陽明之筋.起于中三指.結于跗上.邪外上加于輔骨.上結于膝外廉.
直上結于髀樞.上循脇屬脊.
其直者.上循骭.結于膝.
其支者.結于外輔.合少陽.
其直者.上循伏兔.上結于髀.聚于陰器.上腹而布.至缺盆而結.
上頸.上挾口.合于.下結于鼻.上合于太陽.太陽爲目上網.
陽明爲目下網.
其支者.從頰結于耳前.

経脈病証
是動則病洒洒振寒.善呻数欠.顔黒.病至則悪人与火.聞木声則然而驚.心欲動.欲獨閉戸而処.甚則欲上高而歌.棄衣而走.賁響腹脹.是為骭厥.
是主血所生病者.狂瘧.温淫汗出.衄口唇.頚腫喉痺.大腹水腫.膝腫痛.循膺.乳.気街.股.伏兎.骭外廉.足上皆痛.中指不用.
気盛則身以前皆熱.其有余於胃.則消穀善飢溺色黄.
気不足則身以前皆寒慄.胃中寒則脹満.

十五絡病証
其病氣逆則喉痺瘁瘖.實則狂顚.虚則足不收脛枯.取之所別也.
経筋病証
其病足中指支.脛轉筋.脚跳堅.伏兔轉筋.髀前腫.疝.腹筋急.引缺盆及頬.卒口僻.急者目不合.熱則筋縱目不開.
頬筋有寒則急.引頬移口.有熱則筋弛縱緩.不勝收故僻.


学生さんのために
学生さんのために、学校の試験で問われやすい経穴を紹介します。
○承泣・兌(井金穴)
胃経流注の始まりの経穴と終わりの経穴。
流注の問題のところで各経脈の接続部か、この始まり・終わり
の経穴が問われます。
○頭維
頭維の横には前正中線より外方へ、
任脈経・神庭穴、膀胱経・曲差穴、胆経・頭臨泣穴、胆経・本神穴、
胃経・頭維穴が並んでいる。
このように、横並びになっている経穴は、試験で問われやすい。
○乳中
頭維と同様に乳中も、経穴が横並びになっている。
前正中線より外方へ、
任脈経・膻中穴、腎経・神封穴、胃経・乳中穴、心包経・天池穴、
脾経・天谿穴、胆経・輒筋穴、胆経・淵腋穴
が並んでいる。
○足三里~解谿までの寸法
足三里~解谿までの寸法は、骨度法によって寸法が決まっており、
寸法1尺3寸である。
これは学校で使われる経絡経穴概論の教科書に書かれているので、
試験には出されやすい。

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here