西洋医学も同様の病名を用いるが、
中医学の眩暈は、
メニエール、高血圧症、脳血管障害、貧血、自律神経失調症、眼科疾患などにみられる眩暈は
すべて含まれる。
東洋医学は病名で診断することはなく、
あくまで五臓六腑の変調を整えれば、それに伴う症状は
なくなるものです。
東洋医学の眩暈には「目眩」と「頭暈」に分かれ、
目眩は目がくらむ、目がチカチカする、物がよく見えないなどの
目の症状が中心であり、
頭暈は、頭がフラフラするといった頭部を中心とした症状である。
メニエール病は、難病とされていますが、
実はWHO(世界保健機構)は、メニエールを鍼灸治療で
効果がある疾患として認定しています。
(WHO世界保健機構)による鍼灸治療適応症へはこちら)
①五臓のうち「肝」が原因を起こすもの(ストレスとの関与大・肝陽上亢)
肝は風・木の臓とされ、四季では春に相当するので
春の営みのように気を上へ上へと上昇させようとする。
そのため、眩暈(めまい、ふまつき)が生じるものである。
また、肝は精神刺激を非常に感受しやすいものなので、
ストレスとの影響も非常に強いパターンである。
症状
○眩暈(めまい、ふらつき)、耳鳴、偏頭痛、怒りっぽい、イライラす る、赤ら顔、目が充血する、不眠、夢が多い、不安が強い、うつ様症 状、口苦などを伴う
いずれも肝の変動による症状である。
治法:平肝鎮陽・清火熄風
湯液:竜胆瀉肝湯
天麻釣藤飲
釣藤飲などに該当
古典:「諸風掉眩、みな肝に属す」
②五臓のうちの腎の弱りによるもの
腎は脳との関わりが強いとされていて、腎気が弱り脳が栄養されないために、めまい、ふらつきが出るのである。
虚弱によるものである。腎は精を蔵し、精は髄を生む。
また、脳は「隋の海」と古くから言われているのである。
症状
○眩暈(めまい、ふらつき)、物忘れがひどい(健忘)、足腰が酸い、また力が入らない、耳鳴
どれも腎の弱りに伴う症状である。
治法:補益腎精
湯液:六味地黄丸
海馬補腎丸などが該当
養生:房事過多(SEXの行いすぎ)や、夜更かしなどにより腎気を損 傷しないようにする。 頭の使い過ぎに注意しなるべく足を使うようにする。
③気血不足
体全体の気血が不足していて起こるパターンである。
車で例えるとガソリン(気血)の足らない状態であり、体のガソリンを作り出すのは五臓のうち「脾胃」であり、この脾胃の弱りが根底にあることが多い。
○動いて疲労すると眩暈が悪化する。
元々、気血が少ないので運動によって気血を消耗すると悪化するので ある。
○倦怠感、話すのがおっくう、無気力、顔色が悪い
気血不足のために現れる症状である。
また、一身の気血が不足しているため、五臓六腑に気を供給出来ないと、各々特徴的な症状が出る。
○心 に気血が不足すると、不眠、動機が
○脾胃に気血が不足すると、食欲不振が
○肝 に気血が不足すると、目がかすみ、爪に艶がなくなる
治法:補益気血・健運脾胃
湯液:十全大補湯・帰脾湯・補中益気湯・婦宝当帰膠・七物降下湯
などに該当
④湿痰が経絡を塞ぐために起こる眩暈
(湿濁中阻)
湿痰が頭部をおおうために起こる。
また、脳に気血が送られないので、余計に眩暈(めまい、ふらつき)を
起こしやすい。
湿痰による特有の症状を伴うため、他の原因の眩暈と
見分けることが出来る。
つまり、痰がつまり、咽がゴロゴロしたり、
体が重くなったりといった症状である。
(詳しくは、こちらを参照)
以下に、その各々の症状を挙げる。
湿邪が身体のどこを侵すかによって症状が異なる。
○頭重感を伴う、体が重い:湿痰が頭部を侵すと、頭がどんよりと重く感じる。
○胸悶:湿痰が胸部で停滞
○悪心、眠たくて仕方ない(嗜眠)、ゲップ、しゃっくり:
脾胃に停滞して上逆すると悪心が起こる。気が上逆すると、
ゲップやしゃっくりが起こる。
治法:燥湿化痰、止眩
湯液:半夏白朮天麻湯
竹茹温胆湯
五苓散
苓桂朮甘湯などに該当
⑤瘀血による眩暈(瘀血内阻)
○頭痛などを伴いやすい:瘀血によって頭痛が出やすいため。
その特徴は、固定した鋭い痛みを発する。
○不眠、健忘、顔がどす黒くなる:いずれも瘀血による症状