三国志で有名な曹操は気性がはげしい武将で、いつも頭痛に悩まされていた。
多くの医師の治療をうけていたが、なかなか痛みはおさまらない。
あるとき周りの人から、同時、民間医として名を馳せていた華陀を紹介された。
華陀は曹操の頭痛を風邪によるものとみて、数本の針を深く刺入して完全に治癒さ
せた。
曹操は華陀に金と位を与え、常に自分の身辺にいてくれるよう頼んだが、
故郷に帰りたいと願った華陀は、曹操の要求を断った。
曹操は大いに怒り彼を牢に閉じ込めて罰した。
獄中で華陀は自分の経験をまとめて書き著し、
外部の人に保存を頼んだが、誰も死刑囚である華陀に手を貸すことを恐れ、彼の原
稿を預かろうとはしなかった。
このため、やむなく彼は自らの手で原稿を焼却してしまったという。
こうして華陀の価値ある経験は永遠に失われたのである。
華陀の死後、曹操はずっと頭痛に苦しみ、
彼を殺害したことを後悔したという。
また、改めて華陀を紹介しましょう。
参考文献『いかに弁証論治するか』