<近日開催予定のイベント>
8月20日(日):第五回、鍼灸学生の為の勉強会~【医古文・漢文の読み方No.2】~
下野です。
今回も「諸病の主薬」の記事になります。
【原文】
小児驚風、須用朱砂、為主。
癰疽、須用金銀花、為主。
発背、須用槐花、為主。
瘰癧、須用夏枯草、為主。
敗膿不去、須用白芷、為主。
<第三十一に続く>
【解説】
小児の驚風(四肢の痙攣、意識消失等)には朱砂を使用すべし。
癰疽(悪性の腫れもの)には金銀花を使用すべし。
発背(背部の化膿巣)には槐花を使用すべし。
瘰癧(頚部リンパ腫)には夏枯草を使用すべし。
膿を排せないものには白芷を使用すべし。
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◉朱砂
硫化水銀の鉱物。
性味:甘・微寒
帰経:心
効能:
①鎮心安神
・心神不寧の動悸や不眠に。
・痰熱の癇癪、驚きやすい、狂躁に。
方剤例 → 癇症丸。
・小児の高熱や痙攣、夜泣きに。
②清熱解毒
・熱毒による皮膚化膿症に。
方剤例 → 玉枢丹。
・咽喉の腫脹疼痛、口内炎に。
方剤例 → 玉鑰匙。
◉金銀花
スイカズラ科スイカズラの花蕾。
性味:甘・寒
帰経:肺・胃・心
効能:
①清熱解毒
・熱毒の皮膚化膿症や咽喉の腫れや痛みに。
方剤例 → 銀花解毒湯・五味消毒散。
・腫れや痛みが強く、消散と潰破を早める時に。
方剤例 → 仙方活命飲。
・腸癰に。
方剤例 → 清腸飲。
②涼血止痢
・熱毒による下痢で膿血便、血便があるとき。
③疏散風熱
・外感風熱、温病初起の発熱、発疹などに。
方剤例 → 銀翹散。
◉槐花
マメ科エンジュの花、又は花蕾。
性味:苦・微寒
帰経:肝・大腸
効能:
①涼血止血
・大腸火盛や湿熱の鬱結による血便に。
方剤例 → 槐花散。
・血熱の鼻血に。
②清肝降火
・肝火上炎の目の充血や頭痛、イライラに。
◉夏枯草
シソ科ウツボグサの花穂。
性味:辛・苦・寒
帰経:肝・胆
効能:
①清泄肝火
・肝火上炎の目の充血、腫れや痛み、頭痛や眩暈やイライラに。
・肝血虚による夜間時に増悪する眼痛に。
方剤例 → 夏枯草散。
・陰虚陽亢の眩暈、頭痛に。
②清熱散結
・瘰癧や癭瘤、乳腫、耳下腺腫などに。
方剤例 → 夏枯草膏。
◉白芷
セリ科のヨロイグサなどの根。
性味:辛・温
帰経:胃・大腸・肺
効能
①散寒解表
・風寒による感冒で、額の痛みを伴う時に。
方剤例 → 九味羗活湯
②祛風止痛
・風寒による頭痛に。
方剤例 → 川芎茶調散・清上蠲痛湯。
・風熱による頭痛。
方剤例 → 清上防風湯。
・副鼻腔炎による額の痛み。
方剤例 → 蒼耳散。
③消腫排膿
・皮膚化膿症に用いる。
方剤例 → 仙方活命飲。
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『鍼灸医学事典』 医道の日本社
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下野