<近日開催予定のイベント>
8月20日(日):第五回、鍼灸学生の為の勉強会〜【医古文・漢文の読み方No.2】〜
この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。
7/26(水)
太陽病中篇より
(110条)
太陽病、二日、反躁、反熨其背、而大汗出、大熱入胃、胃中水竭、躁煩、必発譫語、
十余日、振慄、自下利者、此為欲解也。
故其汗、従腰以下不得汗、欲小便不得、反嘔、欲失溲、足下悪風、大便鞕、小便当数、而反不数、及不多。
大便已、頭卓然而痛、其人足心必熱、穀気下流故也。
条文をそのまま読んでいくと、以下のような意味になる。
太陽病2日目で乾燥し、背部へ「熨」という火法を用いた結果、
大汗が出て大熱が胃に入り、胃中が乾燥してうわごとを発するようになった。
10日余り経過してふるえが出て下痢が起これば
病が癒えてきていることを表している。
胃中の熱が排泄されつつあるためである。
なので、腰から下に汗をかかず、
小便もせず、吐き気があり、失禁するようになり、
足下に悪風がおこるなどの症状があらわれる。
大便は堅く、小便は多くなるはずであるがそれ程多くもない。
大便をして突然頭が痛み、
足が必ず熱くなるのは穀気が下へ流れているからである。
この条文の内容を考察すると、
胃中の熱が排泄されることにより病が癒えるが、
その排泄されていく段階でさまざまな症状が現れるという
ことが記されていると思われる。
その考察の中で
「胃気」と「胃の気」の違いについて意見を述べ合った。
条文の中で「大熱入胃、胃中水竭」「穀気」といった表現があり、
これらを「胃気」と読むか「胃の気」と読むかで
意味合いが変わってくるためである。
「胃気」とは、五臓六腑の中の一つとしての「胃」における「気」であり、
「胃の気」とは、生命力、後天の力、正気、といった意味になる。
「大熱入胃、胃中水竭」の「胃」とは、五臓六腑の中の一つとしての「胃」であろう。
「穀気」とは、胃で受納された飲食物が主に脾気によって
正気へと化生していく段階のもので、
「胃気」だけでなく「正気」の意味合いもあり「胃の気」に近いと思われる。
ただ、「胃」は五臓六腑の中でも飲食物を受け止める重要な臓腑であり、
後天の力を作る上で重要な役割を果たすことからすると、
「胃気」と「胃の気」は同じような意味合いであるとも言える。
さて、条文にかえって、
この条文の病証における、もともとの体質はどうだったのか。
「太陽病、二日、反躁」とあり、
自汗するはずの太陽病初期において
自汗せずに乾燥するという内容であろうが、
重要な意味がありそうである。
(続く)
参加者:下野、新川、大原、盧